《なぜ中道は総選挙で大敗したのか》中北浩爾・中央大学法学部教授が分析 変貌する世界に対応することなく現状維持に走った結果ではないか

自民、参政、チームみらいが躍進した先の総選挙では、中道改革連合、れいわ、共産、社民が大敗し、いわゆるリベラル勢力が壊滅的な打撃を受けた。どうしてこのような結果となったのか。そして、日本のリベラルに未来はあるのか。中央大学法学部教授の中北浩爾氏が分析する。
* * * 中道改革連合の大敗には衝撃を受けた。立憲民主党の支持層が溶けたのではないかという分析があるが、振り返ればもっと以前からすでに溶けていたと見るべきだ。
政治家は運動家や理想主義者と異なり、現実のなかでいかにベターな選択ができるか探る存在だ。
議席が半減する――そんな予測もあるなか、野田佳彦氏と斉藤鉄夫氏は政治家としてリスクを取って1月の中道結成に踏み出したが、その基本政策に安保法制の合憲と原発の再稼働容認が含まれていた。立憲にとっては安保法制に反対して2015年に始めた野党共闘路線との完全な訣別だった。
保守中道を自任する野田氏なら当然のリアリティだが、野田体制下でも最後まで修正できずにきた政策をようやく変えた。
148人の衆議院議員のうち新党に合流しなかったのは2人。野党共闘に熱心だった議員も抵抗なく加わっており、立憲がすでに政党の活力を失っていたことを改めて痛感する出来事でもあった。
分水嶺はどこだったか。2017年の総選挙の際には、小池百合子・東京都知事の「排除」発言もあり、枝野幸男氏の下で結党した旧立憲民主党は野党共闘路線で固まった。19年の参院選では1人区の獲得議席10(非自民)を「勝った」と総括したが、すでに限界は見えていた。
国民民主党の一部と合流して新立憲民主党を結党した2020年にも有権者が安保法制を受け入れる現実から目を逸らし、草の根政党として組織に手を入れるわけでもなかった。
その間に世界は変貌した。2016年にはトランプ大統領が当選するなど自国第一主義の潮流が強まった。2022年にはウクライナ戦争を機にスウェーデンとフィンランドが北大西洋条約機構(NATO)に加盟。伝統的な中立国でも共同防衛の枠組みに入る大きな変化で、安保法制の重要性は決定的になった。原発をめぐっても、AIの普及でデータセンター向け電力需要の急増が見えてきた。
だが、なまじ組織が大きい立憲はこうした現実の変化に合わせて足掻き、力ずくでも合意を取り付けて前進する貪欲さに欠けた。組織が崩れるのを恐れ、現状維持に汲々としていたのではないか。