「4年前に比べたら…」 鬼怒川沿いで2度の浸水 そば店再開目指す 台風19号

台風19号による記録的な大雨は、鬼怒川周辺にも被害をもたらした。川べりのそば店「まるじゅう」(茨城県筑西市下川島)は、4年前の関東・東北豪雨で大規模半壊し、今回も浸水した。だが、店主の菊池治さん(52)は「待ってくれているお客さんがいる」とへこたれない。来月上旬の全面再開を目指し、準備を進めている。【宮田哲】
13日午前1時ごろ。自宅にいた菊池さんは、訪ねてきた消防団員から店の車が水没するかもしれないと知らされた。近くの店に駆けつけると、すでに敷地まで水が来ていた。出入り口に土のうを積んだが、水は店内にも押し寄せた。
座敷のすぐ下の地上60センチまで浸水して、床は泥まみれになった。店外の大型冷蔵庫には雨が入り、食材がぬれて廃棄せざるを得なかった。掃除のために臨時休業し、その後も予約客だけしか迎えられず、売り上げに影響が出ている。
だが4年前の惨状を思い起こし、「あの時と比べたら何とかなる」と気持ちを立て直している。2015年9月の豪雨では、店は地上170センチまで浸水した。床や壁の張り替えが必要で、厨房(ちゅうぼう)の機器も使えなくなり、被害額は2300万円に上った。
当時は景気が上向く兆しもなく、廃業を考えたが、毎日片付けを手伝いに来てくれた同級生や客に励まされた。「もう1回やろう」と決心し、3カ月後に再開できた。
店は1995年に開いた。麺は自家製で、つゆにも手間をかける。宴会場が広く、地元の梨農家の会合などに利用されるなど、地域に親しまれてきた。
菊池さんは「苦しい目に遭ったが、何とか続けてこられた。まだ運には見放されていないんじゃないか」と前向きに考えている。「お客さんの気持ちに応え、喜んでもらえる店にしたい」と力を込めた。