ほんの2週間と少し前に台風19号が襲い、被害の復旧もままならないところに、25日の大雨で千葉県を中心に再び被害が広がりました。川があふれ、土砂崩れが起こって、再び尊い命が奪われる大災害となってしまいました。
今回は台風21号が日本の南東を北上してはいましたが、台風19号のように直撃ではありませんでした。なのに、なぜ半日で10月の1カ月分以上の雨が降ったのでしょう。それは東海道沖を東に進む低気圧に大きな原因があります。この時期に日本付近を通過する低気圧というと、前線を伴った低気圧を思い浮かべます。今回の低気圧は23日に東シナ海で発生し、前線を伴うこともなく日本の南海上を進んで来ました。
前線があると「雨雲が来るな」と注意を払います。しかし、前線がないとたいしたことないように見えてしまいます。でも、この低気圧は前線はありませんが、海上から水蒸気がたっぷりと補給され、上空に寒気を伴っていて、低気圧の周辺では雨雲が発達して、大雨や突風をもたらすことがある、やっかいものだったのです。
この低気圧の通過に合わせるように、台風21号も北上して、台風から暖かく湿った空気が送り込まれたことから、台風からの東風と低気圧を回り込む南風が、千葉県付近でぶつかって雨雲が発達し、さらに上空の寒気によって、雨雲が猛烈に発達したと考えられます。今回のようなケースは、いつ、どこで、どれだけ降るのかという予想が難しく、不意をつかれるため、災害につながりやすく、たいへん恐ろしいのです。【鮫島弘樹】(気象予報士・写真部)