セブン&アイ・ホールディングスのスマートフォン(スマホ)決済サービス「7pay(セブンペイ)」の不正利用事件で、被害に遭った岐阜県中津川市の男性(45)が、毎日新聞の取材に応じた。男性は「(サービスを提供する企業は)まずはセキュリティーをしっかりしてほしい」と訴えた。【沼田亮】
男性は今年1月ごろからスマホ決済サービスを利用し始めた。「便利で特典などもあり、現金を持ち歩かなくてもいいので」。7月からサービスを開始したセブンペイもすぐに登録したという。
7月24日午後5時半ごろ、仕事から帰宅した男性が、スマホにセブンペイから届いた通知を見たところ、3万円が複数回にわたってチャージされていた。まったく身に覚えがないもので、同様の不正利用事件が相次いで報道されていたことから、すぐに被害者向けの窓口に連絡したという。「まさか(コンビニエンスストア最大手の)セブン―イレブンのツールが、そんなずさんなセキュリティーになっているとは思わなかった」と驚く。
だが、専用窓口は電話が殺到してなかなかつながらなかった。男性は「どうしてこんなことをしなきゃいけないのかと思った」と当時の怒りを表現する。同じ日に岐阜県警中津川署へ被害届を提出した。
岐阜県警は8月6日、男性のセブンペイの登録情報を不正に使用し、東京都中野区内のセブン―イレブンの店舗から電子たばこ10カートン(販売価格計5万円)をだまし取ったとして、中国籍の男で自称アルバイト、ウインスチン容疑者(25)=同区=を詐欺容疑で逮捕した(8月27日に岐阜地検多治見支部が同容疑を処分保留とし、別の詐欺容疑で再逮捕された)。
セブン&アイ・ホールディングスは8月1日、セキュリティー対策が不十分だったなどとして、セブンペイを9月末で終了すると発表。7月1日の開始からわずか2カ月で停止に追い込まれた。
男性は「実行犯はもっとたくさんいると思う。早く主犯格が捕まってほしい」と語る。一方で、同様のスマホ決済サービスは今後も利用するという。「企業は、セキュリティーをまずはしっかりして、みんなが安心して使えるようにしてほしい」