「言葉が見つからない。納得できない。本当に悔しい」――。埼玉県熊谷市で2015年9月、小学生2人を含む6人を殺害したとして、強盗殺人などの罪に問われたナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン被告(34)=ペルー国籍=の控訴審判決で、東京高裁は5日、死刑を言い渡した1審・さいたま地裁判決(18年3月)を破棄し、無期懲役を言い渡した。大熊一之裁判長は、被告が事件当時、心神耗弱の状態にあったと判断した。この判決を受け、記者会見した遺族は強い言葉で判決を非難し、うなだれた。
5日午後3時過ぎ、東京高裁429号法廷。事件で妻の加藤美和子さん(当時41歳)と長女美咲さん(同10歳)、次女春花さん(同7歳)を失った男性(46)は、法廷で控訴審の結論を待った。
「判決を破棄する。被告を無期懲役に処する」。裁判長から主文が言い渡されると、男性は目を閉じ、表情をこわばらせた。ナカダ被告はうつむいて判決の朗読を聞いていた。
「同じ立場だったら、納得できるかと裁判官を怒鳴りつけたい」。男性は判決後の記者会見で、言葉を絞り出した。「家族を失った日と同じ気持ち。家族にどう顔向けしていいか分からない。どうにか踏ん張ってきたが、またやり直し。生きる気力が湧かなくなってきた」と漏らした。
ある検察幹部は「裁判員は本当に悩んだ末に死刑判決を出したはずだ。これほど簡単に判決がひっくり返されてしまうとは。遺族はつらいだろう。裁判員裁判をやる意味がない」と憤った。