創業90年を迎えた福岡県古賀市の「増田桐(きり)箱店」が販売している酒升「福ますます」が人気を呼んでいる。独自の技法で酒升の内側に絵柄を施しており、中に置いたグラスに日本酒を注ぎ込めば、地元福岡にちなんだ絵柄や、和をモチーフにしたデザインが幻想的に揺れて見えるのが特徴だ。女性にも「可愛い」と好評で、年末年始に合わせて新作の販売も今月始まった。
同店は1929年に開業し、高級茶道具の箱のほか、着物、酒などを納める贈答用の箱を中心に手掛けてきた。3代目の藤井博文社長(32)が母方の祖父の跡を継いだ2012年以降は米びつや本立てなど、桐の良さとデザイン性を兼ね備えた低価格商品を販売し、新たな需要開拓に努める。
藤井社長によると、絵柄入りの酒升は、光の反射で輝きが変化する切子のグラスで日本酒をたしなむ人に着想を得た。独自技術「つなぎ印刷」で絵柄をプリントした桐板を組み合わせて作るが、当初は面と面の合わせ目で絵柄がずれるなどし、苦労の連続だった。
また、酒升は一般的に硬い杉やヒノキを使い、長期間の使用が想定されていない。同社が使う桐は軟らかく感触が良く、防水加工をして繰り返し使える工夫をした。
「福岡にある増田桐箱店の酒升」を略して名付けた福ますますは、15年に「梅」「鶯(うぐいす)」「博多鋏(はさみ)」「博多独楽(こま)」の4種類(1個税別1500円)のデザインが登場。次第に評判が広がり、昨年は金箔(きんぱく)を施し、麒麟(きりん)など新デザインを追加したバージョン(同3000円)の販売も開始した。外国人の人気も高く、販売量は年1000個超と当初の約10倍に伸び、古賀市のふるさと納税返礼品にも選ばれた。
今月からは、ぐい飲みとして使える新商品(同2000円)の販売を百貨店などで始めた。藤井社長は「家族などが集まる時に楽しんでもらえたら。桐製品の魅力を感じてほしい」と話している。問い合わせは増田桐箱店(092・942・3061)。【吉川雄策】