危険手当320円、コロナに奮闘する看護師の実情 風評被害で心理的に追い詰められるケースも

5日で1枚。感染症患者に対応する人は1日1枚――。これは福岡県のある公的病院で、看護師が使える医療用マスクの枚数だ。5日間使うマスクには自分の名前を書き、病院側が管理する。毎日、マスクの内側に入れたガーゼを取り換えて使っている。 「普段なら1日何回もマスクを変えますが、今は許されません」。この病院で働く50代の看護師は話す。利用を制限されているのは、いわゆる薬局で売っているような不織布マスクだけではない。ウイルスの飛沫感染を防ぐ「N95」と呼ばれる医療用のマスクも不足し、使い回している。 『週刊東洋経済』4月27日発売号は「コロナ医療崩壊」を特集。新型コロナウイルスの感染拡大により、困難に見舞われている医療現場の最前線を追っている。 ■15床のため100床をすべて閉鎖 緊急事態宣言が発令された福岡県では、575人(4月23日時点)の感染者が発生している。院内感染も続いており、福岡記念病院(福岡市)や福岡徳洲会病院(春日市)では、複数の医療従事者の感染者が判明している。 この公的病院は感染症の指定医療機関ではないが、現在2人の新型コロナ患者を受け入れている。病床数は450床。県の要請を受け、患者は今後も増える見込みだ。 同院で新型コロナ患者の受け入れが始まったのは、4月頭のことだ。感染症指定医療機関でないため、感染症病床などの設備はない。受け入れを始めた時点では体制が整っておらず、空気を清浄する特殊なフィルターを個室につけて対応した。 4月の2週目に入り、8階フロアが新型コロナの専用病棟になった。8階には全部で100床あるが、感染患者の受け入れは15床分の個室しか使えない。病室はすべて廊下でつながっているため、院内感染を防ぐためには、15床のために100床すべてを閉鎖するしかなかった。 困ったのは、その病棟に入院していた患者の移動先だ。コロナ専用病棟となった8階には整形外科、泌尿器科、眼科、皮膚科の患者がいた。退院や転院できた患者以外は、別の階の病棟に移ることになった。 普段は消化器内科の患者を担当する看護師は、今まで経験のない診療科の患者の対応に戸惑っている。ひざの手術後の患者にはリハビリ機械を使ったり、泌尿器の手術後の患者には尿道に管を入れる処置をしたりと、普段の消化器内科の看護とはまったく異なる。慣れない処置で「患者に迷惑をかけてはいけない」という思いから、普段より心理的ストレスも大きい。 ■消えない感染の不安

5日で1枚。感染症患者に対応する人は1日1枚――。これは福岡県のある公的病院で、看護師が使える医療用マスクの枚数だ。5日間使うマスクには自分の名前を書き、病院側が管理する。毎日、マスクの内側に入れたガーゼを取り換えて使っている。
「普段なら1日何回もマスクを変えますが、今は許されません」。この病院で働く50代の看護師は話す。利用を制限されているのは、いわゆる薬局で売っているような不織布マスクだけではない。ウイルスの飛沫感染を防ぐ「N95」と呼ばれる医療用のマスクも不足し、使い回している。
『週刊東洋経済』4月27日発売号は「コロナ医療崩壊」を特集。新型コロナウイルスの感染拡大により、困難に見舞われている医療現場の最前線を追っている。
■15床のため100床をすべて閉鎖
緊急事態宣言が発令された福岡県では、575人(4月23日時点)の感染者が発生している。院内感染も続いており、福岡記念病院(福岡市)や福岡徳洲会病院(春日市)では、複数の医療従事者の感染者が判明している。
この公的病院は感染症の指定医療機関ではないが、現在2人の新型コロナ患者を受け入れている。病床数は450床。県の要請を受け、患者は今後も増える見込みだ。
同院で新型コロナ患者の受け入れが始まったのは、4月頭のことだ。感染症指定医療機関でないため、感染症病床などの設備はない。受け入れを始めた時点では体制が整っておらず、空気を清浄する特殊なフィルターを個室につけて対応した。
4月の2週目に入り、8階フロアが新型コロナの専用病棟になった。8階には全部で100床あるが、感染患者の受け入れは15床分の個室しか使えない。病室はすべて廊下でつながっているため、院内感染を防ぐためには、15床のために100床すべてを閉鎖するしかなかった。
困ったのは、その病棟に入院していた患者の移動先だ。コロナ専用病棟となった8階には整形外科、泌尿器科、眼科、皮膚科の患者がいた。退院や転院できた患者以外は、別の階の病棟に移ることになった。
普段は消化器内科の患者を担当する看護師は、今まで経験のない診療科の患者の対応に戸惑っている。ひざの手術後の患者にはリハビリ機械を使ったり、泌尿器の手術後の患者には尿道に管を入れる処置をしたりと、普段の消化器内科の看護とはまったく異なる。慣れない処置で「患者に迷惑をかけてはいけない」という思いから、普段より心理的ストレスも大きい。
■消えない感染の不安