【衝撃事件の核心】コロナ禍に悩む接客業 ネットに活路の動き

新型コロナウイルスの感染拡大により水商売も壊滅的な打撃を受け、働く人たちや業態にさまざまな影響が見え始めている。大阪府警が4月、少女にわいせつな行為をさせ、その様子をインターネットで配信させたとして逮捕した夫婦は、「性風俗で働いていた女性が動画配信に流れている」などと供述した。一方、テレワークとともに広まっているテレビ会議システムを使った「キャバクラ」も登場。自宅にいながら雰囲気を味わえるとして、一部で話題を集めているという。
「無法地帯」
インターネットを通じて動画を生中継で配信できるサイト「FC2ライブ」。そのアダルト版を開けば、若い女性の顔や体の写真などが扇情的なコメントとともに表示される。いずれも配信中のチャンネルだ。
府警は4月、このサイトで下半身を露出したとして、公然わいせつ容疑で17歳と18歳の少女を逮捕。共犯として、スカウトやチャンネル運営を行っていた夫婦も逮捕した。
同サイトの有料配信は、1分間視聴するために必要なポイントを設定し、視聴者が視聴時間に応じて支払うポイントを換金する仕組みで、視聴者を集めるほど収入は膨らんでいく。この夫婦が開設したチャンネルの配信収入は右肩上がりに増え、平成29年9月以降、総額約2億8千万円にも上っていたという。
府警の取り調べに対し、夫婦が口にしたのは新型コロナの影響だ。「風俗店に客が来ないので、働いていた女の子がこっちの業界に流れてきている」。休業要請などを受け、閑散とする夜の街をあきらめ、動画配信で稼ごうとする女性が増えたというのだ。
同サイトはネット上では「無法地帯」といわれており、配信者らが同容疑などで逮捕される事件は全国で相次いでいる。ウイルス感染防止のために避けるべき「濃厚接触」の恐れはないが、府警幹部は「ネットにわいせつ動画を流すことは非常に危険。前にあるのは人ではなくカメラなので抵抗感が薄れるが、安易に始めると後悔することになる」と警鐘を鳴らす。
自宅でキャバクラ
接触を避け、映像に移行する動きは違法風俗だけではなく、接客を伴う飲食店にも広がり始めている。
休業を余儀なくされるキャバクラでは、テレビ会議システム「ズーム」を使って接客する新サービスが登場した。
「ズムキャバ!」と名付けられたこのサービスは、東京の会社経営の男性(38)が知人2人と一緒に始めた。
「キャバ嬢(キャバクラで接客する女性)は普段稼いでいても自己投資などに使って貯金はない。休業のせいで『携帯電話代も払えない』といった切実な声を耳にした」という男性。ズームを使って画面越しに飲み会を開く「ズーム飲み」が広がり始めたのをみて、「ここにキャバ嬢を参加させたら盛り上がるのでは」と思いついたという。
利用客は無料通信アプリで男性側に連絡し、1時間4千円の料金を前払いしてズームに「入室」。女性も自宅からドレス姿で参加し、利用客とビデオ通話を楽しむ。酒などは各自用意するため、指名料や延長料金以外は不要だ。女性の背景はキャバクラ店内の画像に設定され、雰囲気も味わえる。
サービスが会員制交流サイト(SNS)で話題になると、銀座や六本木、歌舞伎町といった都内の店で働く女性をはじめ、全国から登録希望者数百人が殺到。採用は高いトーク力を持つ女性を厳選しているため利用客の反応も上々で、女性約10人が勤務したプレオープンの最終日には、5時間の営業で約14万円を売り上げたという。
「外出自粛が続き、『誰かと楽しく会話をしたい』という欲求が社会全体で高まっているのではないか」と男性。「早く新型コロナが終息してみんなが本業に戻れるのが一番だが、今の状況で少しでも気を紛らわすことができる場にもなれば」と話している。