◆米本社と違いBlack Lives MatterもスルーするTwitterジャパン
東京・京橋にあるツイッタージャパン社前の歩道で6月6日、Twitter内でのヘイトスピーチが野放しにされる一方で差別を批判するアカウントが相次いで凍結されていることに対する抗議活動が行われた。約100人が集まり、「ソーシャル・ディスタンス」を確保しながらプラカード等を掲げた。
ツイッター社は5月30日に反差別運動体C.R.A.C(@nohatetv)や著述家の菅野完氏(@noiepoie)の言葉を投稿するだけで、実際は菅野氏ではない第三者のアカウントが凍結。同社からは合理的な凍結理由が示されておらず、「#CRACの凍結に抗議します」「#菅野完の凍結に抗議します」といったハッシュタグや、C.R.A.Cのマークや菅野氏の顔写真をアイコンにするなどして抗議の意を表明する動きが起こっていた。
Twitterではかねてより、ヘイトスピーチを含む差別的な投稿が横行してきた。そうした投稿を行う著名人のアカウントが凍結されることもなく、逆に、差別批判や政権批判をするアカウントがしばしば凍結されるということが繰り返されてきた。C.R.A.C関連のアカウントや菅野氏のアカウントが凍結されたのも今回が初めてではない。
一方、5月25日にアメリカ・ミネアポリス市で警官が黒人男性ジョージ・フロイド氏を殺害した事件をめぐって全米で抗議活動が広がり、「Black Lives Matter(黒人の命を軽視するな)」のスローガンが広まると、アメリカのツイッター社も公式アカウントを黒基調に変更しこのスローガンを掲出した。しかし「Twitter Japan」の公式アカウントは、こうした意思表明はしていない。
これら一連の動きを受けて行われたのが、6月6日の抗議活動だ。午後1時に約100名が、ツイッターの日本法人である「ツイッタージャパン株式会社」のオフィスが入る京橋の東京スクエアガーデン前に終結。めいめいに持ち寄ったプラカードを掲げ、横一列に並んで無言の抗議を行った。
◆ソーシャルディスタンスを保ち抗議の声を上げる人々
「No Place FOR HATE」
「NO MORE HATE SPEECH」
「Twitter JP 恥を知れ」
「差別ツイート野放しやめて」
「笹本裕(ツイッタージャパン代表取締役)の辞任を求めます」
「#CRACの凍結に抗議します」
「#菅野完の凍結に抗議します」
Twitter上の差別投稿をプリントアウトして地面に並べ、日本におけるTwitterの実情を通行人やメディアに説明する参加者もいた。
ツイッタージャパン社はとくだん反応せず。抗議活動開始前に東京スクエアガーデンの警備員が、主催者側に対して敷地に入らないよう求めてきただけだった。
抗議活動は約1時間にわたって行われ、最後は主催者によるスピーチとシュプレヒコールで締めくくられた。
◆怒りのあまり初めて抗議行動を主宰した
抗議を呼びかけたのは、抗議活動等の主催者を務めるのは今回が初めてというじょばみ氏。以下、スピーチの全文。
「デモの現場で、こんな人前でマイク持つのは初めてなんですけど、今日はこのくらい怒っています。ツイッター社、囲んだったぞ!
ただ道を歩いていただけのジョージ・フロイド氏に何か落ち度はありましたか。彼が拘束された挙げ句、殺された理由はただ1つ。黒人だったから。
2020年5月25日。1人の黒人男性が警官からの不当な拘束、暴力によって殺されました。“I can’t breath(息ができない)”と言いながら。こんな不条理、こんな屈辱。赤い血が流れているまともな人間であるならば、こみ上げてくる怒りを抑えようがありません。これが差別です。これが差別です。笹本、わかっとんのか! これが差別じゃ! ただ黒人だった。ただ女性だった。ただクルド人だった。ただイスラム教徒だった。ただLGBTだった。ただ障害者だった。ただ在日韓国人だった。そこに何の罪があるんです。そこに何の咎(とが)があるんです。存在するだけで難癖つけられ、命まで脅かされ奪われる。そんなことが21世紀にもなって、アメリカという先進国においても、いまだ横行している。こういうことに憤りを感じないのなら、人間なんかやめてしまえ!
アメリカのツイッター本部は、一国のトップであるトランプ大統領によるツイートを、暴力を賛美する内容だと警告。明確に、人種差別に基づく国家権力による暴力と戦う姿勢を示した。対してツイッタージャパン! ヘイトや差別は野放し。やらせたい放題。反対に、差別やレイシズムに対して決然と戦うANTIFA(アンチ・ファシズム)のアカウントは次々と不当に凍結。凍結すべきアカウントが逆なんじゃボケ! わかっとんのか!
凍結した彼らANTIFAのアカウントに規約違反があるのなら、正々堂々とその理由を開示せよ。できないのなら、それはすなわち言論弾圧とみなし、我々は断固戦うことをここに誓う。
おーい、ツイッタージャパン、こんだけの人間に囲まれとんで! 見えとんか!
日本社会において差別やヘイトやレイシズムがはびこっている大きな原因の1つは、この言論のプラットフォームであるはずのツイッタージャパンが、差別やヘイト、レイシズムに自ら加担しているからではないのか! あんたらな、要するにいまだにしばき隊が怖いんちゃうか! しばくぞ! “ツイッタージャパンしばき隊”とかいうの作ってもいいですよね。
このように、卑怯な言論弾圧を買って出るツイッタージャパンに言論プラットフォームを運営する資格は微塵もない! 誰の仕業や。誰の差し金や。誰への忖度やねん。言うてみいや笹本、誰に忖度しとんじゃお前。こんなんゆるいこと言って大炎上しとる代表なんてカッコ悪いぞ、やめてまえ!
ツイッタージャパンは直ちに、ユーザーが安全に利用できるよう、差別の扇動、デマ、誹謗中傷、つきまとい等に厳しく対処することを、強く要求する。以上!」
続いてシュプレヒコールだ。
「ツイッタージャパン、差別と向き合え!」
「ツイッタージャパン、デマと向き合え!」
「ツイッタージャパン、差別を許すな!」
「差別を無視する代表いらない!」
「差別を無視する笹本いますぐ辞めろ!」
「ヘイトの野放しいますぐやめろ!」
「ANTIFA凍結いますぐ解除!」
「人権守れ!」
「ヘイトを許すな!」
C.R.A.Cや菅野完氏のアカウントの凍結は、本稿執筆時点でも解除されていない。
<取材・文・撮影/藤倉善郎>
【藤倉善郎】
ふじくらよしろう●やや日刊カルト新聞総裁兼刑事被告人 Twitter ID:@daily_cult4。1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)