“全世界的災い”から未来を見出せ! ピンチだからこそ…八幡和郎氏が新著『日本人がコロナ戦争の勝者となる条件』で指摘

禍を転じて福と為(な)す-。新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)が続くなか、この災いをチャンスだと捉える考えには、「不謹慎」「落ち着いてからだ」という反対も起こる。しかし、評論家の八幡和郎氏は新著『日本人がコロナ戦争の勝者となる条件』(ワニブックス)で、ピンチだからこそ日本が今、目指すべき未来を論じる。

「今回の新型コロナウイルスで、中国は学校の授業をオンラインで行うなど、『従来より良くする』という考えでどんどん変わっている。日本も同様の姿勢で動き出さなければ、国際的に後れを取ってしまう」
八幡氏はこう語る。
日本の遅れの典型として本書で指摘されているのが、「マイナンバー制度」だ。現在では緩和しつつある「マスク不足」や「現金10万円給付」の遅延は、マイナンバー所持の義務化や、口座番号のひも付けがされていれば、問題は起こらなかったと指摘している。
同時に、マイナンバー制度の導入を批判し続けてきたマスコミや野党の責任にも言及している。
欧州諸国に比べ、現時点で日本は、新型コロナウイルスの死者も感染者もケタ違いに少なく押さえ込めている。だが、八幡氏は日本の医療の弱点についても指摘している。
「やみくもにPCR検査を増やせばいいという問題でもないが、増えない。感染者をホテルに収容することになったが、かなりの時間をロスした。治療薬候補『アビガン』の認可も遅れるなど、危機的な状況に陥ってから、これまで心配されてきたことがすべて露呈するかたちとなってしまった」
本書では、政府が発令した緊急事態宣言について、各都道府県知事の“通信簿”も付けている。東京都の小池百合子知事の説得力や、大阪府の吉村洋文知事の補償に関する考え方を、具体的な政策から論じている。
八幡氏は「日本をどのように導くかは国民の問題だ。国民一人ひとりが『常に変化が必要な時代』にどのようにうまく立ち回ることができるのかを考えなければならない」と話す。