菅首相と和解アピール、対立の自民都連と接近…小池知事にちらつく「いらだち」

東京都の小池百合子知事が菅義偉(すが・よしひで)政権誕生後、不仲説がささやかれてきた菅首相をはじめ新閣僚らと相次いで会談、「雪解け」をアピールしている。東京五輪・パラリンピックや新型コロナウイルス対応だけでなく、金融関連施策でも国の後押しが必須なことが背景にある。対立してきた自民都連との距離感を縮める動きも見られ、新政権とのパイプを確保したいという思惑がにじむが、自らの「存在感」が埋没しかねない状況に、いらだちものぞく。(植木裕香子)
連携を強調
「コロナ対策や五輪開催、よろしくお願いします」
9月23日昼。新内閣発足後、菅首相と官邸で初めて会談した小池氏は、冒頭にこう切り出した。菅氏もうなずき、マスク姿の2人は小池氏の提案で拳と拳をぶつけ合う「グータッチ」を交わすなど、和やかな雰囲気が演出された。
面会は、小池氏と近い自民党の二階俊博幹事長の仲介で実現。会談後も報道陣に菅首相との「意見の一致」を繰り返した小池氏は、その後も平井卓也デジタル改革担当相や田村憲久厚生労働相ら新閣僚と相次ぎ会談し、菅新政権との連携姿勢をアピールした。
小池氏と菅首相のこれまでの関係は決して良好とはいえず、むしろ不仲説がささやかれてきた。
たとえば、小池氏が初当選した平成28年の都知事選。自民党が全面的に支援した対抗馬の応援に入った菅首相は、小池氏の当時の公約だった「都議会の冒頭解散」に触れ、「劇場型の人に都政を任せられない」と発言した。
最近でも、当時官房長官だった菅首相が7月、都内中心に新型コロナの感染者数が再拡大した状況について「この問題は圧倒的に東京問題と言っても過言ではない」と批判。これに対し小池氏が、菅氏が主導した政府の観光支援事業「Go To キャンペーン」を念頭に「冷房と暖房と両方かけることにどう対応していけばいいのか。これは国の問題だ」と反論する一幕もあった。
パイプづくり?
こうした状況の中、都政関係者の間で注目されているのが、28年の知事選以来、対立関係が続いてきた自民都連との関係改善の動きだ。
再選した今年7月の知事選で自民都連は対抗馬を擁立せず、最近では都連所属の自民都議が小池氏と面会し新型コロナ対策について要望。9月16日には政府の来年度予算編成に向けて都の要望への協力を求めるため、都連所属の国会議員や都議らと意見交換した。文書による協力要請を続けてきたが、面会形式は初めてだった。
面会自体は安倍晋三前政権のときに決まっていたとされるが、菅政権との距離感に気をもむ都幹部の一人は「都連とパイプができたことによって、変わってくる部分もあるのではないか。有意義な会合だ」
都連側にとっても、小池氏との関係修復は「渡りに船」(関係者)といえる。29年の都議選では、小池氏が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」に大敗。来夏の都議選では第1会派奪還を目指しており、ある自民都議は胸の内をこう明かす。
「党員党友約10万2000人では都議選の目標に掲げる議席倍増は難しく、上積み票が必要。知名度の高い小池さんとの関係が良くなったと有権者にうつるのは、決して悪い話じゃない」
会見でもそっけなく
小池氏にとって、新型コロナ対応や追加負担を伴う東京五輪・パラリンピックの開催には、国との連携が不可欠。自身が掲げる「国際金融都市・東京」の実現でも、「菅内閣の掲げる国際金融都市構想の中で、外資系金融企業の誘致などの後押しが必要になってくる」(都幹部)。
だが都関係者によると、9月24日に会談した西村康稔経済再生担当相からは、国際金融都市の候補地としては東京だけでなく、大阪、福岡もあるとの認識を示されたという。
普段は会談後に報道陣の取材に応じる小池氏だが、この日は素通り。その後の公務の時間が迫っていたことが理由とされるが、都関係者は「『東京こそが候補としてふさわしい』と思っている知事からすれば、西村大臣の姿勢にいらだちを感じていたことは間違いない」と打ち明ける。
菅首相が掲げたデジタル庁構想も、都庁内では波紋を広げた。小池氏は昨年、インターネット大手ヤフーの元社長、宮坂学氏を副知事に起用。目玉施策として次世代通信規格「5G」の推進やICT(情報通信技術)人材の育成などをアピールしており、都幹部は「デジタル庁構想でお株を奪われた形だ」と指摘する。
9月25日の定例記者会見。菅首相との「不仲説」を指摘された小池氏は、「(不仲とは)認識していません。はい、以上です」と、そっけなく語った。