日本年金機構が昨年度までの4年間に公表した年金の過払い178件のうち、68件の計約4300万円が返還請求の手続き遅れで時効となり、回収不能になっていたことが、会計検査院の調べでわかった。検査院は、厚生労働省と日本年金機構に迅速な処理の徹底を求めた。
会計法では、過払い年金は支給日から5年が経過すると、国の返還請求権が消滅すると定められている。
検査院は、年金機構が公表した200万円以上の過払い178件を調査。約4割にあたる68件で、受給者の了解を得たり、金額を訂正したりする作業などが遅れ、全額または一部で時効が成立していた。
年金機構は内規で手続きごとに終了期限を定めていたが、実務を担当する年金事務所への徹底が不十分だった。年金機構は「スケジュール管理を徹底する」としている。