知事「クマも好んで高校に来たわけではない」…周辺は一時騒然、駆除される

近年、市街地や住宅地でツキノワグマなどの出没が相次ぎ、農作物被害も高止まりしているのを受け、富山県が警戒を強めている。12日には高岡市中心部の県立高岡高校の庭でクマが見つかり、駆除された。県は野生動物が身を隠しやすい手つかずの里山林が原因とみて、伐採整備に乗り出している。
「クマも好んで高岡高校に来たわけではないだろう。クマが安らかに暮らせる森林づくりを進めていかなくてはならない」。12日に開かれた「県水と緑の森づくり会議」で、新田知事はこう語った。
会議前のこの日朝、高岡高で確認されたクマは、市有害鳥獣捕獲隊によって駆除された。人的被害はなかったが、周辺は一時騒然となり、同校は休校措置を取った。県が目撃情報を時系列で調べたところ、クマは近くを流れる庄川の河川敷を通って同校にたどり着いた可能性があるという。
県自然保護課によると、県内で昨年、クマによる人的被害は6人で、2019年の20人に次ぎ過去10年間で2番目に多かった。出没件数も599件と同2番目だった。
クマが人里に現れる理由として挙げられるのが、エサになるブナやミズナラの実などの豊凶具合だ。同課は今年の傾向はまだわからないとしつつ、「クマの活動領域は拡大している。高岡高のケースもあるように、いつ、どこに出没してもおかしくない」と警戒する。今年の出没件数は19日までに29件を数える。
また、県内では近年、イノシシによる農作物の被害も深刻だ。イノシシの生息数は増えているといい、19年には県内で初めて人的被害も起きた。
こうした背景から県は今年度、野生動物の移動経路となっている河岸段丘でやぶ化している里山林の伐採整備を始めた。クマやイノシシは草の茂みに身を隠して移動することから、雑草などを除去して見通しをよくしたり、人間との鉢合わせを減らしたりする狙いがある。
今年度予算に840万円を計上したほか、森林の保護事業などに充てる県独自の「水と緑の森づくり税」を活用し、22年度からの5年間で本格的に里山林の伐採などに取り組む。
さらに、市町村境の川沿いにクマなどが出没した際に、隣接自治体の関係者らが速やかに集まり、効率的に捕獲できる体制づくりについても検討している。各自治体が連携し、連絡が必要なエリアや発見した際の連絡先などを今年度中にまとめたいとしている。
同課の富士原禎課長は「野生動物の被害は山だけの話ではない。自宅や車庫、倉庫の戸締まりなどもしっかりしてほしい」と、県民への注意も呼びかけている。