南太平洋のトンガ諸島で発生した大規模噴火による津波を受け、高知県は16日、県内の被害状況をまとめた。人的被害はなかったが、20隻以上の小型船などが転覆したり、沈没したりした。被害に遭った漁師らは「まさか船が転覆するとは」「当面、漁には出られない」と嘆いた。
高知地方気象台によると、室戸市室戸岬で午前0時15分に80センチ、土佐清水市土佐清水で午前0時23分に90センチ、高知市でも午前1時57分に30センチの津波が観測された。
第5管区海上保安本部などによると、6市町で小型船の被害が計22隻確認された。室戸市の佐喜浜港では、5隻の船が転覆、3隻が沈没するなどして計8隻が被害を受けた。四万十町興津の
小室
(おむろ)漁港では、4隻が転覆するなどし、船体から油が流出。町は17日に油の回収などについて対応を協議する。
県によると、16日未明、県内に津波注意報が発令されたことを受け、太平洋沿いの18市町が災害対策本部などを設置。南国市は沿岸部や河口付近にいる人向けに避難指示を出した。香南市は未明、男性2人が吉川防災コミュニティセンターへ自主避難したことから、避難所を開設。そのほか安芸市や安田町なども含め、計4市町で少なくとも計20人が一時的に自主避難した。中土佐町では、町役場の駐車場へ車数台が避難していたという。
宿毛市の片島、鵜来島、沖の島を結ぶ宿毛市営定期船「沖の島航路」はこの日全便計2便を欠航。長浜種崎間県営渡船は、始発から午後3時までの計11便が欠航した。
県内で最大の漁船被害が出た室戸市の佐喜浜港。漁船「太郎丸」が転覆したというエビ網漁師の男性(44)は「この日午前0時半頃、港の様子を見に来たが暗闇でわからず、7時前に来て、父の船2隻も沈没しているのを見つけた。船が沖に流されなかっただけでも救いだが、当分漁に出ることができない。自然のことなので仕方ない」と諦め顔だった。
四万十町の小室漁港では、船から漏れ出た燃料油が漂い、異臭もした。通常は透明で海底まで見えるが、津波のため砂が吹き上げられ、濁っていた。漁港近くの高齢女性は「深夜『ゴーン、ゴーン』という大きな音を聞いた。船が転覆しているとは思わなかった」と驚いていた。