大阪市生野区の3階建て民家で住人の川崎勝哉さん(当時82歳)の遺体が見つかった事件で、大阪府警は20日未明、川崎さんを強盗目的で殺害したとして、解体工事会社を営む請川(うけがわ)正和容疑者(44)=大阪府八尾市=ら男女3人を強盗殺人と住居侵入などの疑いで逮捕したと発表した。捜査関係者によると、請川容疑者は実行役とされ、逮捕前の事情聴取に「ハンマーで襲った」と川崎さん殺害への関与を認める供述をしていることが判明した。
川崎さんは貸金業を営み、自宅に多額の現金を保管していた。3人は川崎さんと面識がなかったとされるが、請川容疑者は「川崎さんの家に大金があるのを知っていた」とも説明。府警はこうした資産情報を事前に入手した詳しい経緯を調べている。
他に逮捕されたのは、請川容疑者の妻で無職の左稀(さき)(23)と、建設作業員の野木俊夫(58)=大阪市生野区=の両容疑者。野木容疑者は請川容疑者と仕事を通じて知り合ったとされる。
逮捕容疑は2021年12月1日午前6時ごろ、川崎さん宅に強盗目的で侵入。2階寝室にいた川崎さんの顔や頭を鈍器のようなもので複数回にわたって殴り、失血死させたとしている。現時点で現金などが奪われた形跡は確認されていない。府警は3人の逮捕後の認否を明らかにしていない。
府警捜査1課によると、川崎さんは1日午前7時過ぎ、寝室のベッド脇で頭から血を流して倒れている状態で発見され、約1時間前には近隣住民が悲鳴を聞いていた。府警はこの時間帯を記録した周辺の防犯カメラ映像を捜査したところ、川崎さん宅付近で駐車する不審なダンプカーと2台の軽乗用車を確認。請川、野木両容疑者に似た男性がダンプカーからはしごを下ろしたり、現場方面に向かったりする姿も映っていた。
さらに、各地の防犯カメラ映像をたどる「リレー捜査」も実施。車両ナンバーから逃走経路を割り出した結果、3台は八尾市内にある請川容疑者の会社駐車場に集結していたことから3人の関与が浮上した。
一方、川崎さん宅は親族が所有する3階建て住宅と隣接している。互いに行き来できる構造で、親族宅2階のベランダ窓が壊されていた。3人は共謀してはしごで2階から忍び込み、川崎さん宅に移動した疑いもある。請川容疑者は逮捕前、川崎さん宅の構造を事前に把握していたという趣旨の供述もしており、府警は計画的に川崎さんを襲った可能性が高いとみている。【安元久美子、郡悠介】