通常国会が17日に開会し、岸田文雄首相が初の施政方針演説を行った。良くない意味で「驚く部分」の多い演説だった。 まず、「はじめに」含め、冒頭の大きな2項目を「新型コロナウイルス対策」に割いていることが、今回の岸田演説の特徴である。最も力説したかった事柄のはずが、その割には首を傾げたくなる表現が散見される。首相官邸からは「あなたごときが余計なお世話」といわれるだろうが、具体的に指摘してみたい。 コロナに苦しむ人への見舞い、コロナ対策に協力する国民への感謝の後、次のくだりがある。 「そして、新型コロナ対応の最前線におられる、自治体、医療機関、介護施設、検疫所、保健所などのエッセンシャルワーカーの皆さんに、深く、感謝申し上げます」 コロナ対応の最前線にいる筆頭に「自治体」を挙げるセンスに驚く。自治体の職員が頑張っていないとはいわないが、やはりこの筆頭は「医療従事者の皆さま」にするのがよいのではないか。 「医療機関」という表現も、その後の「~などのエッセンシャルワーカーの皆さん」につなげるものだということは分かるが、やはり違和感大だ。 医療機関の中には、新型コロナの補助金不正受給(しかも多額の)が指摘されたところもある。ここは「組織」にではなく、現場で奮闘する個々人への声がけの表現にすべきであった。 この後、(コロナ後の新しい日本を創り上げるための挑戦)という項目の最初の一文にまた驚く。 「内閣総理大臣に就任してから、国内外の山積する課題に、スピード感を持って、決断を下し、対応してきました。『行蔵(こうぞう)は我に存す』。それぞれの決断の責任は、自分が全て負う覚悟で取り組んでまいりました」 スピード感を持って決断を下してきた…という首相の自己評価を「確かにそうだ!」と思う国民はどのぐらいいるだろう。 例えば、北京冬季五輪への「外交的ボイコット」の表明は、先進諸外国と比したら恥ずかしくなるほど遅かった。しかも、その表明は松野博一官房長官に丸投げだったと記憶している。 同じ項に、次の表現もある。 「このように、『信頼と共感』の政治姿勢を堅持しつつ、まずは、新型コロナに打ち克つことに全身全霊で取り組んでまいります」 うーん。これまた高い自己評価の言葉。岸田首相は腰低く見せているが、案外ゴーマンキャラなのか。 「新型コロナに打ち克つ」 という表現も、昨年9月の自民党総裁選出馬時に語っていた、「私たちはコロナと共存する未来をめざす必要があります」という「ウィズ・コロナ」的な表現と矛盾するように聞こえる。とはいっても、このとき岸田氏は「いつでもどこでも無料のPCR検査」などと、既に矛盾することを言っていたので、いまさらこんな齟齬(そご)を指摘しても詮無いか。
通常国会が17日に開会し、岸田文雄首相が初の施政方針演説を行った。良くない意味で「驚く部分」の多い演説だった。
まず、「はじめに」含め、冒頭の大きな2項目を「新型コロナウイルス対策」に割いていることが、今回の岸田演説の特徴である。最も力説したかった事柄のはずが、その割には首を傾げたくなる表現が散見される。首相官邸からは「あなたごときが余計なお世話」といわれるだろうが、具体的に指摘してみたい。
コロナに苦しむ人への見舞い、コロナ対策に協力する国民への感謝の後、次のくだりがある。
「そして、新型コロナ対応の最前線におられる、自治体、医療機関、介護施設、検疫所、保健所などのエッセンシャルワーカーの皆さんに、深く、感謝申し上げます」
コロナ対応の最前線にいる筆頭に「自治体」を挙げるセンスに驚く。自治体の職員が頑張っていないとはいわないが、やはりこの筆頭は「医療従事者の皆さま」にするのがよいのではないか。
「医療機関」という表現も、その後の「~などのエッセンシャルワーカーの皆さん」につなげるものだということは分かるが、やはり違和感大だ。
医療機関の中には、新型コロナの補助金不正受給(しかも多額の)が指摘されたところもある。ここは「組織」にではなく、現場で奮闘する個々人への声がけの表現にすべきであった。
この後、(コロナ後の新しい日本を創り上げるための挑戦)という項目の最初の一文にまた驚く。
「内閣総理大臣に就任してから、国内外の山積する課題に、スピード感を持って、決断を下し、対応してきました。『行蔵(こうぞう)は我に存す』。それぞれの決断の責任は、自分が全て負う覚悟で取り組んでまいりました」
スピード感を持って決断を下してきた…という首相の自己評価を「確かにそうだ!」と思う国民はどのぐらいいるだろう。
例えば、北京冬季五輪への「外交的ボイコット」の表明は、先進諸外国と比したら恥ずかしくなるほど遅かった。しかも、その表明は松野博一官房長官に丸投げだったと記憶している。
同じ項に、次の表現もある。
「このように、『信頼と共感』の政治姿勢を堅持しつつ、まずは、新型コロナに打ち克つことに全身全霊で取り組んでまいります」
うーん。これまた高い自己評価の言葉。岸田首相は腰低く見せているが、案外ゴーマンキャラなのか。
「新型コロナに打ち克つ」
という表現も、昨年9月の自民党総裁選出馬時に語っていた、「私たちはコロナと共存する未来をめざす必要があります」という「ウィズ・コロナ」的な表現と矛盾するように聞こえる。とはいっても、このとき岸田氏は「いつでもどこでも無料のPCR検査」などと、既に矛盾することを言っていたので、いまさらこんな齟齬(そご)を指摘しても詮無いか。