京都市幹部逮捕 職員「大事故が起きた」 コロナ対応の部局に衝撃

事務方のトップ級幹部の逮捕から一夜明けた9日、京都市役所は大きく揺れた。新型コロナウイルスの感染拡大で市内の保育園も休園が相次ぐ中、現場の指揮官が思わぬ形で不在となる事態に。職員からは「大事故が起きた」と本音が漏れた。
「市民に大変なご心配をおかけし、心からおわびします」。正当な理由なく保育園の土曜休園を認めることなどを依頼され、高級腕時計を受け取ったとして、市子ども若者はぐくみ局局長の久保敦容疑者(59)が受託収賄容疑で府警に8日逮捕された事件。2017年に新設した同局の初代局長に登用した門川大作市長は9日、市役所で記者団の取材に陳謝した。市幹部となる局長級職員の逮捕は約40年ぶりという。
市によると、久保容疑者は京都大を卒業後、1987年に採用。保育課長や保健福祉部長を歴任するなど、福祉畑を長く歩んできた。同局の職員は「福祉分野の経歴が長く、さまざまな制度に精通していた」と語る。
門川市長も、久保容疑者について「情熱的に仕事をし、子どもや市民のために労を惜しまない」と評する。同じ局長ポストを約5年にわたり務めていたが「子育て関係の制度が激変した時期だった」と、任用に問題はないと強調。早くて14日にも内部による調査委員会を設置し、半年をめどに経緯などを調査する方針を明らかにした。
ただ、「長期政権」には弊害も浮かぶ。
ある市職員は「福祉分野に一番詳しく、外部とのネットワークも強固。他の職員が立ち入れない面があり、局内でワンマンになっていた」と打ち明ける。贈賄容疑で逮捕された社会福祉法人理事長の中西京子容疑者(85)については「強引に意見を通すタイプ。国会議員の名前をちらつかせ、市にさまざまな要望をしていたようだ」といい「中西容疑者が強引に要求し、久保容疑者が強引に局内で通したのでは」と見立てる。
同局は、新型コロナの感染拡大で保健所に職員を派遣するなど人員が削られているうえ、相次ぐ保育園の休園などの対応に追われている。17日には22年度当初予算案を審議する2月市議会の開会を控えており、ある市職員は「大事故が起きた。局の業務が回らなくなるのでは」と声を落とした。【添島香苗】
市役所を家宅捜索、資料押収
京都市子ども若者はぐくみ局局長の久保敦容疑者(59)が受託収賄容疑で逮捕されたのを受け、市役所本庁舎(同市中京区)では9日午前10時ごろ、府警の捜査員約15人が正面玄関から家宅捜索に入った。捜査員は、同局の関係部署などを調べた。
この日は平日のため、市役所では通常通りの業務が行われており、捜索中の部屋を出入りしていた市職員らは落ち着かない様子だった。捜索開始から約4時間後、捜査員らは関係する資料などを段ボール箱に入れて押収した。
府警はこの日、贈賄容疑で逮捕した中西京子容疑者(85)が理事長を務める社会福祉法人が運営する、同市左京区の保育園なども捜索した。【千金良航太郎】