園児にマスク、現場は懸念 専門家「適切な管理難しい」

新型コロナウイルスから子供たちをどう守るかが課題になっている。政府は保育施設での感染拡大を受け、保育園児らのマスク着用を「可能な範囲」で推奨する方針を打ち出した。「無理強いしない」との留意点も示されたが、判断を委ねられた現場からは「変化に気づくのが難しくなる」との声も。子供の発育などに詳しい専門家は「デメリットの方が大きい」と指摘する。
「走るとしんどい」
「めっちゃ飛んでる。楽しい」。14日、大阪市西区の公園にたこ揚げに夢中になる子供たちの声が響いた。
多くの子供はマスクを付けたまま。ただ中にはマスクを外して遊んだり、時折ずらして息を整えたりする姿もあった。女児の一人は「(マスクには)慣れたけど、走るとしんどい」と話した。
子供たちが通う認可保育園「西区南堀江保育園てのひら」では、職員のマスク着用を必須とする一方、園児には一律の着用を求めていない。
「園児の中には、マスク着用で息苦しさや体調不良を訴えたり、保育士が体調の変化に気が付くことが難しかったりする子もいる」と話すのは、園長代理の猪又洋祐さん(37)。意思表示が難しい2歳児クラス以下の園児は原則マスクを着用していない。また3歳児クラス以上についても、着用の有無は保護者の方針に任せている。
同園にも感染「第6波」が直撃。園児がコロナに感染し、休園を強いられることもあった。だが「長時間マスクを着用することによる発育や健康面、衛生面での心配が残る」(猪又さん)として、マスク着用の判断は引き続き家庭に委ねるとの考えに変わりはないという。
顔が見えづらいリスク
第6波では全国の保育施設で感染が広がった。休園になると仕事を休まざるを得ない保護者も少なくなく、社会経済活動への影響も出ていた。
こうした状況を踏まえ、政府は「一律に着用を求めない」としていた園児のマスク着用の方針を転換。2歳未満を除き、マスク着用が無理なく可能と判断される子供について、「可能な範囲で一時的に、マスク着用を奨める」と明記した。また小児科医らからの慎重意見も踏まえ、「体調変化に十分注意する」「一律に着用を求めない」といった留意点も合わせて示した。
政府による保育園児へのマスク着用推奨を専門家はどう見るのか。
白梅学園大の小林美由紀教授(小児保健学)によると、マスクは正しく着用できれば一定の効果が期待できる。しかし未就学児の場合、嫌がって外してしまったり、他の子供のマスクを触ってしまったりする可能性もあり、適切に管理することがそもそも難しい。現時点では「デメリットの方が大きい」と断じる。
こうした世代では、表情やしぐさといった非言語でのコミュニケーションも重要とされる。小林氏はマスク着用で顔が見えづらくなるリスクがあるとして、「発達上の観点からも好ましくない」と述べた。(桑村大、花輪理徳)