日大が永久決別した田中前理事長が起訴内容を認め…それでも“ドン待望論”くすぶる理由

「争う気はありません」
13年にわたって日本一のマンモス校で独裁体制を築いてきた「日大のドン」は、その大きな背中を丸め、小声でボソボソと答えた。
取引業者からのリベートなど約1億1800万円を隠し、約5200万円を脱税したとして、所得税法違反の罪に問われた日本大学前理事長の田中英寿被告(75)は15日、東京地裁の初公判で起訴内容を認めた。昨年11月に逮捕された当初、容疑を否認していたが、妻の事件への関与を問われると、一転して容疑を認めた。
昨年9月、前理事長の自宅や大学に東京地検特捜部の強制捜査が入ってからも大学側は一切説明を行わず、理事会では被害届を出さないことを決定。
強制捜査から約3カ月後の12月10日、ようやく記者会見を開き、加藤直人理事長兼学長(71)が「田中前理事長と永久に決別し、その影響力を排除します。今後一切、彼が日本大学の業務に携わることを許しません」と宣言したが、いまだ現場では待望論がくすぶり続けているという。
■文科省の天下りを阻止したい
その理由を日大関係者がこう説明する。
「いま現場が心配しているのは、日本大学が文科官僚の“天下り先”にされてしまうことです。なにしろここ数年、私立大を中心に文科省出身の学長や理事が増えていますからね。利権の少ない文科省にとって、大学は数少ない天下り先です。とくに年間予算が2000億円を超える日大は、是が非でも欲しい天下り先のはずです。『体制の見直し』を口実に、不交付となった私学助成金をチラつかせ、官僚OBを理事に送り込んできてもおかしくない。各学部の事務局長は、1億円超の退職金が出るほどの好待遇です。このまま加藤理事長に任せていたら、それこそ文科省の言いなりになりかねない。文科省の介入を阻止できるのは田中前理事長しかいません」
田中前理事長は出身母体の相撲界をはじめ、スポーツ界、政界ともつながりがあり、前理事長が影響力を持ち続ければ、文科省も手を出しづらいというのだ。
「反田中派といっても全教職員の数割程度で、幹部連中のほとんどは前理事長の息がかかっています。日大はこれまで既存の教育機関の買収を繰り返し、7万人超の学生を抱えるまで大きくなった。その背後には政治家も絡んでいるだけに、学校経営は一筋縄ではいきません。田中前理事長くらいの剛腕でないと、たばねるのは難しい。しばらくは“寝たふり”をして、かつて日大にあった『会頭』というような立場で、子飼いをトップに据えて実権を握るのではないか」(前出の日大関係者)
田中前理事長は、いつどこで誰とどんな会話をしたか、すべて「メモ」しているというから、いざとなったら誰もドンのやることには逆らえない可能性もある。