埼玉県伊奈町で2017年12月、自宅で暴行や食事制限などの虐待を受けていた岩井心ちゃん(当時4歳)が衰弱死した事件で、さいたま地裁は24日、両親にいずれも懲役7年の判決を言い渡した。「1口、2口しか食べられない」「腰が曲がり、まともに座れない」――。認定された事実はあまりにも痛々しい。判決は父親を「無責任」、母親を「身勝手」と、厳しく断罪した。
父親の悠樹被告(32)と母親の真純被告(30)はこの日、ともに黒いスーツ姿で出廷。判決にじっと耳を傾け、時折うなずいていた。
判決によると、心ちゃんは暴行や食事制限などの虐待を受け、17年12月上旬頃から低栄養状態になっていた。同21日、お漏らしをしてしまった心ちゃんは下半身裸のまま放置され、低体温症で死亡した。
公判で争点となったのは、2人が心ちゃんの異変に気付いていたかどうかだった。弁護側は「命に関わる状況だという認識はなかった」と、無罪を主張していた。
判決はこれを全面的に退けた。
旺盛だった心ちゃんの食欲は17年11月頃から低下。12月上旬には、1食あたりスプーン1、2口しか食べなくなっていた。重度の低栄養になると口からの食事が困難になるとされる。
また、2人はトイレがうまくできないからと体をたたいたり、嫌がる心ちゃんの脚を無理やり開いて伸ばしたりすることもあった。心ちゃんは脚の筋肉の断裂などで腰が曲がり、正常な歩行や、まともに座ることもできなくなっていた。
判決はこれらの事実から、世話をしていた真純被告も、話を聞いた悠樹被告も、病院に連れて行く必要を感じていたと結論づけた。そのうえで、心ちゃんの体にあざがあるからと、2人が警察への通報を恐れて医療を受けさせなかったとも指摘した。
事件を巡っては、伊奈町が対応を検証し、20年9月に報告書を公表している。町の職員は心ちゃんが亡くなる前年、複数の傷やあざを確認し、母親に注意をしていたが、なついているように見えたことから、虐待ではないと判断。虐待を察知する体制の不備や、児童相談所との情報共有がなかったことなどが問題として浮かび上がった。
町の児童福祉担当者は24日、取材に対し、「痛ましい虐待事案の再発防止に取り組みたい」と語った。