令和2年10月に東京都調布市の住宅街の道路で陥没事故が起きた東京外郭環状道路(外環道)のトンネル工事をめぐり、東京地裁が28日、一部の区間について工事の中止を命じる決定を出した。原告となった住民からは、評価する声が上がった一方、「なぜ工事の中止が一部に限定されたのか」との不満も相次いだ。
今回の地裁決定では、都内在住の原告13人のうち、陥没事故が起きた地点から約30メートルの場所にある丸山重威(しげたけ)さん(80)の居住地についてのみ、新たな陥没事故で家屋や生命に危険が生じる恐れがあると認められた。
丸山さんは「私のところで地盤が緩んでいて危ないと認定されたが、被害はもっと広いところで起きている」と指摘。丸山さんの自宅周辺では、地盤強化工事のために、事業者による住宅の買い取りや取り壊しが進んでいるとし「街が虫食い状態になっている」と、危機感をあらわにした。
杉並区に住む原告の岡田光生(みつお)さん(74)は「事業者が出した再発防止対策は付け焼刃的で、住民の安全には触れられていない」と批判。別の原告の女性(66)も「決定はうれしいのが半分、悲しいのが半分。(トンネル工事で採用されている)シールド工法が安全であるという証明はなく、事業者は住民の不安を分かっていない」と訴えた。
原告側代理人の武内更一弁護士は「裁判所が違法な工事だと認めてくれたのは大きい」と決定を評価しつつ「練馬区の方では掘削工事が再開されており、同様の危険性があることを協議したい」として、抗告を含めて検討する方針を示した。