新型コロナウイルスの感染拡大が続き、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)している危機的状況を受け、基幹病院の奈良県立医大病院(橿原市)が2月、「異例」の通知を県内の病院や診療所へ発出した。新型コロナ以外の入院を伴う患者については事実上、受け入れが困難だと周知する内容で、ある診療所の医師は「前代未聞の通知で、通常医療への影響は深刻だ」と驚いた様子で話す。
通知は「新型コロナウイルス感染拡大に伴う診療体制について」と題したA4判1枚の文書で、医大病院が吉川公彦院長名で2月下旬までに各病院や診療所に送付した。新型コロナの入院患者の増加で通常医療を制限しているため、他の病院や診療所から紹介された一般患者でも、入院を伴う診療については「ご意向に沿えない場合もある」と記されている。
医大病院は新型コロナ専用病床を80床(うち14床が重症対応)運用、県内の患者受け入れの中心的役割を担っている。それには一定の医療従事者を確保する必要があり、一般患者の入院や手術などは従来の6~7割ほどに制限しているのが実情だ。病院は取材に、今回のような通知は異例とした上で「できる限り対応していきたいが、人員にも限りがある。(通知は病院の)現状を知ってもらう意味もある」と説明した。
県内の新型コロナ専用病床の使用率は現在7割前後に上る。他の病院でも一般患者への対応を制限しており、文書を見た診療所の医師は「医大病院で診てもらいたい患者がいても、紹介をためらってしまう。他の病院も大変な状況で、医療崩壊状態になっている」と話した。【久保聡】