東京メトロ日比谷線八丁堀駅で2021年6月、多機能トイレの個室に入り約7時間後に見つかった男性が搬送先の病院で死亡していたことが判明した。利用者が連続30分以上在室すると検知するシステムと、個室内で気分が悪くなったときに押す非常ボタンがいずれも作動していなかった。2日に発表した東京メトロは「死亡との関係は不明」としている。
東京メトロによると昨年6月7日午後11時ごろ、点滅している多機能トイレのドアランプに警備員が気づき、駅員とともに扉を開けて男性を発見した。ドアランプは30分以上の在室で点滅する。付近の防犯カメラには男性が午後4時ごろ入室する様子が映っていた。
多機能トイレの利用者が続けて30分以上在室すると駅事務室に自動的に警報が入るシステムは、センサーと駅事務室の間のケーブルがつながっておらず作動しなかった。個室内の非常ボタンはブレーカーが切れていて動かなかった。いずれもトイレが完成した12年6月に機能試験が実施されておらず、当初から作動していなかったという。
東京メトロによると、男性の死因は不明だが、警察からは「事件性はない」と伝えられた。非常ボタンを男性が押したかどうかは「わからない」としている。
男性の死亡後に東京メトロが多機能トイレ約220カ所を点検したところ、12カ所で同様の不具合があり、修理したという。【内橋寿明】