22年前の東京・大田の殺人事件 容疑者、中国で代理処罰

東京都大田区のアパートで2000年2月に中国出身で妊娠中だった女性(当時21歳)が殺害された事件で、女性の親族で発生直後に出国した中国籍の李富春容疑者(48)が中国当局に拘束され、08年に執行猶予付きの死刑判決を受けていたことが捜査関係者への取材で判明した。警視庁が殺人容疑で逮捕状を取り、日本政府が中国に代理処罰を要請していた。21年12月に判決文が警視庁に届いたといい、同庁は今後、李容疑者の公判での供述などの確認を進める。
事件は00年2月19日に発生。大田区東蒲田2のアパート一室で、妊娠8カ月だった主婦の宇野純子さんが首や頭などを刺されて死亡しているのを、帰宅した夫が発見した。警視庁は蒲田署に捜査本部を設置し、同7月に宇野さんの伯父夫婦ら4人を殺人容疑で逮捕。このうち、伯父夫婦とその息子の妻の3人が殺人罪に問われ、東京地裁で懲役8~12年の実刑判決を受けた。
捜査関係者によると、李容疑者は伯父の息子の妻の妹で、事件直後に出国。警視庁は殺人容疑で逮捕状を取って国際手配し、日本政府が06年ごろに中国当局に代理処罰を要請していた。その後、代理処罰の状況を問い合わせていたところ、21年12月に判決文が届いた。判決文には、事件への関与を認めているとされる記載があった。
中国では執行猶予付きの場合、一定期間後に減刑される可能性もあるという。警視庁は国際刑事警察機構(ICPO)を通じて、李容疑者の現在の状況などを中国当局に照会している。【鈴木拓也、木原真希】