東日本大震災から11年を迎えるのを前に、被災地では10日、最愛の家族を失った人々が祈りをささげ、今も帰らぬ人の手がかりを見つける捜索が行われた。
津波で大きな被害が出た宮城県岩沼市の「千年希望の丘相野釜公園」では、市主催の追悼行事「希望の灯火(あかり)」が開かれた。灯籠(とうろう)の明かりが夕闇を照らし、訪れた市民らが犠牲者に思いをはせていた。
岩沼市内の死者・行方不明者数と同じ181個の灯籠が慰霊碑に向かう通路に置かれた。震災がれきでつくられた丘に上る階段にも「天国から見守ってね」などのメッセージが添えられた約400個が並んだ。市内の災害公営住宅で暮らす森勝志さん(76)は妻と慰霊碑に献花。津波で命を落とした次男の嘉勝さん(当時41歳)をしのび、「今でも悔しくて仕方ない。11年たっても会いたい気持ちは変わらない」と話した。
416人の行方が分からないままの岩手県大槌町では県警釜石署、釜石大槌地区行政事務組合消防本部、釜石海上保安部などが約70人態勢で海岸付近を捜索。潜水士による海中捜索もあり、津波到達後の午後3時57分ごろを指して止まった腕時計や結婚指輪が入ったポーチなど、遺留品とみられる品を発見した。
釜石署地域課の橋本明日香さん(25)は「行方不明者を待つ家族の気持ちは変わらない。手がかりになる物を見つけたい」と話し、熊手で砂浜を丹念に掘り起こしていた。潜水した第2管区海上保安本部の榎木大輔さん(41)は「細かな物もしっかり確認したい」と力強く言った。
今年は新型コロナウイルスの影響もあり、追悼式の開催を見送ったり縮小したりする被災自治体もある。毎年3月11日に開かれてきた政府主催の追悼式も10年の節目となった2021年を最後に今年は開かれない。【平家勇大、松本ゆう雅】