宮城、福島両県で16日夜に最大震度6強を観測した地震で脱線した東北新幹線について、JR東日本は18日、全線で運転が再開するのは4月以降になるとの見通しを改めて示した。設備の損傷が広い範囲で相次いで見つかっており、長期化が懸念される。一方、脱線に至る経緯の概要が、国の運輸安全委員会への取材で明らかになった。1回目の揺れでブレーキがかかり、停車後かその直前に2回目の揺れで脱線したとみられる。
脱線したのは東京発仙台行きの「やまびこ223号」。白石蔵王駅の約2キロ手前の宮城県白石市で17両のうち16両が脱線した。乗客、乗務員にけがはなかった。
JR東によると、18日までに判明した設備の損傷は、電柱の損傷24本▽架線の断線2カ所▽高架橋などの土木構造物の損傷20カ所▽レールのゆがみ10カ所――など。被害の全容はまだ把握し切れていないといい、さらに増える恐れもある。JR東の担当者は「脱線が起きた場所付近はかなりの強震域だった」と述べた。
東北新幹線は今回の脱線後、那須塩原―盛岡駅間の上下線で運転を見合わせている。JR東によると、少なくとも21日まではこの区間の運転を再開しない。運転見合わせの区間は22日以降の見直しを検討しており、復旧の状況を見極めて21日に一定の方針を示す考えだ。
やまびこ223号の車両は現場から動かさないよう、運輸安全委の保全命令が出ていたが、17日夜に解除された。JR東は数日中に現場からの撤去作業に取りかかる方針。車体を持ち上げてレール上に戻し、移動させる必要があり、作業は数日間に及ぶという。
東北新幹線の東京―仙台間の利用者数は新型コロナウイルス禍前の2019年度、1030万人に上った。20年度は350万人。地域社会に与える影響は大きい。代替の移動手段を確保するため、国土交通省は交通事業者に協力を要請。18日午前11時時点で日本航空などの航空3事業者、国際興業などのバス8事業者が臨時便を出すなどして代替輸送を実施している。
運輸安全委は脱線の原因を調べるため、地震の発生から一夜明けた17日に鉄道事故調査官2人を派遣した。初日の現地調査後に報道陣の取材に応じた調査官は、大きな地震が連続して発生したことを踏まえ、「新幹線は1回目の地震でブレーキで停止し、2回目の地震で脱線したと考えられる」との見方を示した。脱線は新幹線が停止する直前か停止後だったと考えられるという。運輸安全委は聞き取りや車載データの分析を進める方針だ。【木下翔太郎、面川美栄】