浜松市立小中学校に通学していた少女(18)がいじめを訴えたことに対する市教育委員会による原因調査は「不適切」との指摘があったとして、市教委の宮崎正教育長は23日、市役所で記者会見し、少女と保護者に対して謝罪した。「大変つらい思いをさせてしまい、おわび申し上げる」と述べ、いじめ調査に関する市の基本方針を見直すなど、信頼回復に全力を挙げる考えを示した。
不適切と指摘したのは第三者による「市いじめ問題再調査委員会」(鈴木敏弘委員長)。一連のいじめ事案をめぐる市教委の調査対応を検証し、22日に報告書をまとめた。少女へのいじめを一部認めた上で、市教委の調査対応について「不適切な調査であり、意義は乏しい」と断じた。
具体的には、国のガイドライン(指針)は、公平性・中立性が確保された第三者組織がいじめ調査をするよう求めている。しかし、市の基本方針にはこうした規定が盛り込まれていない。さらに今回の事案で、いじめが起きた学校関係者や市教委、いわば「身内」で構成する組織で調査していたことについて、報告書は「ガイドラインを逸脱し、公平性・中立性が担保されていない」とした。
報告書の指摘について、記者会見に同席した市教委の石野政史指導課長は、市教委外部の弁護士らでつくる専門家チームから日常的に助言・指導を受けており、これまで公平性・中立性が確保されているとの認識だったことを明かした。
ただ、石野課長は再調査委の指摘を踏まえて、「いじめを受けた生徒の立場からすれば、日頃から市教委にいじめ対策で助言・指導している人を(第三者の)『外部』とは見ない」と反省し、今後、第三者委員会設置を進める考えを示した。
国のガイドラインの認識については、宮崎教育長らは「軽視していたわけではない」と釈明しつつも「市教委内部で個々に差があった」(田中孝太郎学校教育部長)として、ガイドライン順守が徹底されていなかったことを認めた。今後はガイドラインに沿った基本方針に修正する考えだ。
報告書によると、少女は小学1年から5年までの約5年間と中学1年の時にいじめを受けた。少女が中学3年だった平成30年5月、保護者が「同級生から受けたいじめが原因で精神疾患を発症している」と市教委に相談。学校職員らでつくる調査委が、いじめの重大事態として関係者に聞き取りをするなどした。
しかし、メンバーに第三者が含まれていないことなどに保護者が反発し、全容解明できないまま調査を終えたことから、再調査委が立ち上げられていた。