飲酒ひき逃げ被告に懲役3年の実刑判決 裁判官「粛々と贖罪の日々を」

乗用車で女性をひいて死亡させ、飲酒運転の発覚を免れるため逃走したなどとして自動車運転処罰法違反などの罪に問われた被告に対する判決公判が25日、福岡地裁小倉支部であり、井野憲司裁判官は被告に懲役3年(求刑・懲役4年)の実刑判決を言い渡した。公判で「(免許取り消し期間後に)免許を取ったら安全運転する」と述べた被告に「私が遺族だったら、よく言えるなあと思うのだけど」と罪の重さを突きつけていた裁判官は、判決言い渡し後、うつむく被告に対し「粛々と贖罪(しょくざい)の日々を送ってください」と説諭した。
自動車運転処罰法違反(過失致死アルコール等影響発覚免脱)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われたのは、北九州市門司区の建設作業員、由井希(のぞむ)被告(22)。公判で弁護側は「罪を認めて反省し、再犯可能性も低い」として執行猶予付き判決を求めていた。
井野裁判官は「基本的な注意義務を怠って被害者をほぼ即死させる人身事故を起こしたあげく、いったん転回して反対車線から被害者が倒れて意識を失っていそうな様子を目の当たりにしていながら、飲酒運転の発覚回避を優先して身勝手にも逃走した」と指摘。「自動車運転の危険性に対する無自覚と規範意識の鈍麻をあらわにした行動ぶりで、犯情の重さは、被害者が道路に座り込んでいた特殊事情を踏まえても揺るがない」とした上で、「被告が反省、謝罪の意を示していることや前科がないことなどを考慮しても、実刑は免れない」と述べた。
判決などによると、由井被告は2021年11月20日、友人らとバーベキューをし飲酒した後に北九州市小倉北区黄金1の国道10号(片側3車線)で乗用車を運転。助手席にある携帯電話のスピーカー機能を使った友人との通話に気を取られて前方左右を注視せず、時速約40~50キロで第1車線から第2車線に車線変更しながら進行した。路上に座り込んでいた前方の女性(当時31歳)をひいて失血死させ、アルコールの影響などの発覚を免れるために逃走した。
約1時間半後に発見された由井被告から検出されたアルコールは、飲酒運転の基準値以下の呼気1リットル当たり0・09ミリグラムだったという。【成松秋穂】