福岡県春日市の小児歯科医院で2017年、麻酔薬の注射後に適切な措置を怠って女児(当時2歳)を死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた歯科医師、高田貴被告(56)に対し、福岡地裁は25日、禁錮1年6月、執行猶予3年(求刑・禁錮2年)の判決を言い渡した。神原浩裁判長は「気付けた異変を見落とした」と述べた。
判決によると、当時院長だった高田被告は17年7月、山口
叶愛
(のあ)ちゃんの虫歯治療の際、別の歯科医師に局所麻酔薬リドカインを注射させた。子どもへの使用には注意が必要で、父親から「顔色が悪い」といった訴えがあったのに、疲労で寝ているだけと思い込んで救命措置を怠り、急性リドカイン中毒による低酸素脳症で死亡させた。
弁護側は「中毒は予見できなかった」として無罪を主張したが、判決では、被告が「中毒や死亡の可能性に気付けた。父親の訴えを軽んじ、助かったはずの命を失わせた」とした。
判決後、記者会見した叶愛ちゃんの両親は「親の訴えにはしっかり対応してもらいたい」と語った。