相場操縦、SMBC日興元部長が買い支え認める供述 否定から一転

SMBC日興証券を巡る相場操縦事件で、5銘柄を相場操縦したとして金融商品取引法違反で起訴された同社エクイティ部元部長の山田誠被告(44)が、東京地検特捜部の調べに、買い支えを認める供述をしていることが関係者への取材で判明した。山田元部長は同法違反容疑で逮捕された同社副社長執行役員の佐藤俊弘容疑者(59)と別の1銘柄の相場操縦で共謀したとされるが、この容疑についても買い支えの意図があったことを認めているという。
関係者によると、立会取引時間外に大株主から株を買い取って売却先を募る「ブロックオファー取引」に絡み、自社資金で株の売買を行うエクイティ部が、終値が下がるのを回避しようと大量の買い注文を出した疑いが持たれている。日興は当日の終値を大株主からの買い取り基準額にしており、終値が下がれば取引が不成立になる可能性があった。山田元部長はこの取引を主導したとされ、上司だった佐藤副社長にメールや電話で取引内容を報告していたとされる。
山田元部長は今月4日、2019年12月~20年11月に5銘柄を相場操縦した疑いで逮捕されたが、「通常の業務の範囲内」などと買い支えの趣旨を否定していた。だが、勾留期限の24日が近づくと、一転して認める供述を始めたという。山田元部長は同日に起訴されたが、翌25日に東京地裁から保釈請求が認められ、保釈保証金1000万円を納付して保釈された。
一方、佐藤副社長は山田元部長と共謀して21年4月に東証1部上場の製薬会社の終値が下落するのを回避する目的で、計10万株(約6億6000万円)の買い注文を入れたなどとして逮捕された。佐藤副社長は特捜部の調べに「違法な取引だとは思わなかった」と容疑を否認しているという。【志村一也、二村祐士朗、国本愛、松尾知典】