季節は冬だというのに、どうしてもアイスクリームを食べたかったのかーー。
患者を緊急搬送後、消防署への帰り道にアイスクリームを購入し、救急車の赤色灯をつけ、サイレンを鳴らして走行したとして、大阪市消防局の救急隊員3人が訓告などの処分を受けていたことが分かった。
年の瀬が迫った2020年12月8日夕、大阪市内の病院に患者を搬送し、ひと仕事終えた3人は消防署に戻る途中、アイスクリーム店の近くに救急車を止め、うち2人がアイスを購入して救急車に乗り込んだ。
3人は制服姿だったため、通行人が「なんで救急車を止めて、アイスを買うてるんや」ととがめると、救急隊員たちは救急搬送を装おうとしたのか、あわてて赤色灯を点灯。サイレンを鳴らして救急車を急発進させ、その場から無言で走り去ったという。救急車は、通行人からその姿が見えなくなるまでサイレンを鳴らし続け、そのまま数十秒間走行した。
■コロナで医療提供体制が逼迫する中
一昨年の12月といえば新型コロナウイルスの患者数が急増した時期と重なる。大阪府はその5日前、感染拡大により医療提供体制が逼迫しつつあることから、府独自の「大阪モデル」の赤信号を初めて点灯させ、府民に不要不急の外出自粛を呼び掛けたところだった。
3人は何事もなかったかのように消防署に戻ったが、その日、通行人が市消防局に通報。勤務時間中の「買い食い」がバレた。市消防局の内部調査に対し、救急隊員は「できるだけ早くその場を離れたかった」と話しているという。
市消防局は私的な買い物をした上、緊急時以外に赤色灯やサイレンを使用して市民の信頼を損なったとして、隊の責任者である小隊長を訓告、残り2人を訓諭、所属長からの指導とした。
処分は21年2月に下され、今回、市職員の不祥事事案に関する情報公開請求で、あらためて処分が明らかになった。
大阪市消防局企画課の担当者がこう言う。
「業務が長時間におよんだりして、熱中症対策や体力維持を目的とした十分な水分補給ができない場合は、水やお茶などの購入を認めています。ただアイスの購入に関しては、体調維持には関係なく、私的な買い物に当たると判断しました」
3人は同世代で、勤務時間中にアイスを購入したのは、その時が初めてだという。
アイスを購入したことがバレないように通行人の注意をガン無視し、サイレンを鳴らして「逃走」したために、かえって大ごとになった。