旧優生保護法、相次ぐ高額賠償判決 一時金増額を議論へ

旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられた障害者らへの救済法が24日、成立から3年を迎えた。国に賠償を求める各地の訴訟では、救済法で定めた一時金320万円を大きく上回る高裁判決が相次ぎ、救済法制定に関わった超党派議員連盟などが見直しに向けて議論を開始する見通しだ。ただ、増額幅など論点も多く、通常国会での法改正は難しい状況だ。
救済法成立3年、支給990件と低調
2019年4月に成立した救済法は、スウェーデンの救済制度を参考に一時金を320万円と規定。手術記録がなくても本人や関係者の証言があれば、幅広く救済を可能とする仕組みにした。
ただ、2月の大阪高裁と3月の東京高裁では、旧法の違憲性を認め、国側に賠償を命じた。賠償額は大阪高裁で最高1300万円、東京高裁は1500万円と一時金320万円を大きく上回り、国側は上告したものの、松野博一官房長官は与野党と協議した上で一時金の増額を含め見直す考えを示している。
5月以降、救済法制定に携わった与党のプロジェクトチームや超党派議連で救済法の改正も視野に議論を始める見通しだ。一時金の引き上げ幅や、支給対象外の配偶者や中絶手術を受けた人への対応などが論点となる。一時金の水準は、賠償額を目安に決めるとみられるが、超党派議連メンバーの一人は「支給金と賠償金では性質が異なる。増額のラインを見極めるのは難しい」と語り、時間がかかりそうだ。
一方、救済対象者は約2万5000人とされるが、プライバシー保護などを理由に、被害を個別に知らせる仕組みはない。一時金の支給件数は3月末時点で990件と低調で、被害弁護団は個別通知の導入も求めている。新里宏二共同代表は「被害者は高齢化しており、一刻も早く、国と国会議員の謝罪を法律に明記すべきだ。(東京高裁判決の)1500万円を最低ラインに、一時金の増額を求めたい」と訴える。【小鍜冶孝志】