「入管はなぜ私たち夫婦を苦しめるのか」ビザ不認定の夫を支える「日本人女性」の苦悩

婚姻届は市区町村で受理されている。2人の結婚に実態があることは、入管の担当職員も認めている。にもかかわらず、配偶者ビザ(※1)が認められず、夫は働くことも、入管の許可なく自分の住む都道府県の外に出ることもできない――。 そんな境遇にいる日本人女性たちが、1日も早く夫の在留資格が認められることを求めて、2021年夏に結成した「仮放免者等の在留資格を求める日本人配偶者の会」(配偶者の会)。 「日本人の配偶者がいるのにビザを与えず、何年も何十年も、仮放免と収容を繰り返す。政府、法務省、入管はそうやって本人と配偶者を精神的にも経済的にも苦しめ続けています。彼らに私たち夫婦の幸せを奪う権利などないと思います」 配偶者の会のなおみさんはそう語る。夫ナビンさんの在留資格が認められないために、2人がどんな生活を強いられているか。なおみさんに聞いた。(取材・文/塚田恭子) ●入学した日本語学校が倒産してしまう なおみさんがスリランカ出身のナビンさんと出会ったのは、今から17年前。ナビンさんが2004年12月に日本語学校に留学した翌年、2005年の春にさかのぼる。 「友人のフィリピンの女の子と買い物をしている途中、はぐれてしまって。しばらくして見つけ出した彼女が話していたのが彼でした。外国人同士という気安さから、声を掛け合っていたのだと思いますが、それが縁で、みんなで出掛けるようになり、次第に2人で会うようになりました」 まずは日本語を勉強し、将来的には日本で働きたいと考えていたナビンさん。ところが、その日本語学校は潰れてしまい、ナビンさんら同校の留学生は、学校から放りだされてしまう。 「先生が徐々に学校に来なくなるなど、おかしいとは思っていたようですが、当時、彼はまだ日本語がよくできず、先生が来ない理由がわかったのも、学校が倒産してからだったようです。どこで、誰に助けを求めればよいのかもわからず、入管に相談に行ったものの、職員からは『学校に相談して』と言われるだけで、どうしようもありませんでした」 多くの学生同様、ナビンさんは留学のために借金をしていた。それだけでなく、スリランカで当時の大統領の反対派を支持していた彼と父親は、政府側から暴行も受けていた。そのときのケガがもとで半年後、父親が亡くなり、自身の骨も変形してしまったナビンさんに帰国という選択肢はなかったという。 学校の問題を解決できず、学生ビザを更新できないまま、彼は在留資格を失ってしまった。 ●2度目の収容は、明らかに入管側のミスだった
婚姻届は市区町村で受理されている。2人の結婚に実態があることは、入管の担当職員も認めている。にもかかわらず、配偶者ビザ(※1)が認められず、夫は働くことも、入管の許可なく自分の住む都道府県の外に出ることもできない――。
そんな境遇にいる日本人女性たちが、1日も早く夫の在留資格が認められることを求めて、2021年夏に結成した「仮放免者等の在留資格を求める日本人配偶者の会」(配偶者の会)。
「日本人の配偶者がいるのにビザを与えず、何年も何十年も、仮放免と収容を繰り返す。政府、法務省、入管はそうやって本人と配偶者を精神的にも経済的にも苦しめ続けています。彼らに私たち夫婦の幸せを奪う権利などないと思います」
配偶者の会のなおみさんはそう語る。夫ナビンさんの在留資格が認められないために、2人がどんな生活を強いられているか。なおみさんに聞いた。(取材・文/塚田恭子)
なおみさんがスリランカ出身のナビンさんと出会ったのは、今から17年前。ナビンさんが2004年12月に日本語学校に留学した翌年、2005年の春にさかのぼる。
「友人のフィリピンの女の子と買い物をしている途中、はぐれてしまって。しばらくして見つけ出した彼女が話していたのが彼でした。外国人同士という気安さから、声を掛け合っていたのだと思いますが、それが縁で、みんなで出掛けるようになり、次第に2人で会うようになりました」
まずは日本語を勉強し、将来的には日本で働きたいと考えていたナビンさん。ところが、その日本語学校は潰れてしまい、ナビンさんら同校の留学生は、学校から放りだされてしまう。
「先生が徐々に学校に来なくなるなど、おかしいとは思っていたようですが、当時、彼はまだ日本語がよくできず、先生が来ない理由がわかったのも、学校が倒産してからだったようです。どこで、誰に助けを求めればよいのかもわからず、入管に相談に行ったものの、職員からは『学校に相談して』と言われるだけで、どうしようもありませんでした」
多くの学生同様、ナビンさんは留学のために借金をしていた。それだけでなく、スリランカで当時の大統領の反対派を支持していた彼と父親は、政府側から暴行も受けていた。そのときのケガがもとで半年後、父親が亡くなり、自身の骨も変形してしまったナビンさんに帰国という選択肢はなかったという。
学校の問題を解決できず、学生ビザを更新できないまま、彼は在留資格を失ってしまった。