視覚障害者用なのに…音響信号のほとんどが夜間・早朝に無音設定

石川県内に設置されている376か所の音響装置付き信号機(音響信号機)のうち、24時間音が出る設定になっているのは2か所にとどまることがわかった。視覚障害者が安全に道路を横断するのに欠かせない音響信号機だが、「音が気になる」との声も寄せられるためだという。県警は視覚障害者が安全に道路を利用できる方法を模索している。(福原悠介)
県警交通規制課によると、県内には3月末時点で、2385か所に信号機が設置され、約16%に音響装置がついている。日中は「ピヨピヨ」や「カッコー」などの電子音が鳴るが、金沢市の片町交差点と広坂交差点の2か所を除き、夜間や早朝は音が鳴らない設定になっている。
音が出ない時間帯は、信号機によって異なるが、24時間音を鳴らしていないのは、「音を止めてほしい」といった声が寄せられるためだという。担当者は「音響装置の稼働には、周辺住民の生活への配慮とバランスを取ることが求められる」と話す。
一方で、県警は2019年度以降、稼働時間帯を拡大するなどの見直しを進めている。県内では、道路を横断中の視覚障害者が被害に遭う交通事故は過去10年、起きていないが、東京都内で18年12月、音響信号機が稼働していない時間帯に視覚障害者が車にはねられて死亡した事故を受けた取り組みだという。

19~21年度に音響装置の稼働時間帯を拡大したのは43か所ある。県立盲学校(金沢市小立野)周辺でも学校関係者や保護者らからの要望を受け稼働開始時刻を午前7時に前倒ししている。
県警は、音響信号機以外にも、横断歩道上に立体的な印を付けて視覚障害者を誘導する「エスコートゾーン」の整備も進めたい考えだ。県内では3月末時点で、27か所にエスコートゾーンが整備されている。金沢市の交通安全の計画に基づき、JR金沢駅と西金沢駅周辺でさらに増やすことを検討している。
同課の担当者は「交通弱者も利用しやすい道路などの整備に努めたい」と話している。
視覚障害者協会「信号ないのと同じ」

県視覚障害者協会の米島芳文理事長は、「音響装置が稼働していなければ、夜間は信号がないのと同じだ」と視覚障害者への理解を求める。
音響装置などのサポートがない横断歩道を渡る際、視覚障害者は周囲の音を頼りに目の前の信号が赤か青かを判断している。しかし、最近は走行音がほとんどしない車が増えるなど、音による情報が少なくなっているという。
県警によると、県内では過去10年、横断歩道を渡っている視覚障害者が被害者となる人身事故は起きていない。しかし、米島理事長は、「目の不自由な人が赤信号で道路を渡っていたという情報が協会に寄せられることがある」と話す。
米島理事長は、音が気になる人がいることにも理解を示したうえで、暮らしやすい社会を作るには「互いに相手を思いやる気持ちが大切」と指摘し、「信号が青になったタイミングを教えてくれるだけで、とても安心して渡れる」と話した。