長崎原爆「黒い雨」記録 国答弁は「捏造」 県保険医協会抗議

長崎原爆投下後の「黒い雨」の降雨記録を巡り、後藤茂之厚生労働相が「客観的な記録はないと最高裁判決が事実認定した」と衆院厚生労働委員会で答弁したのは誤りだとして、長崎県保険医協会は6日、後藤氏らに抗議文を送った。「悪質な捏造(ねつぞう)だ」と指摘している。
5月18日の厚労委で、山田勝彦議員(立憲民主)が、原爆投下後に黒い雨に遭った人に被爆者健康手帳が交付されるようになった広島と同様に、長崎の被爆地域外にいた被爆体験者らにも手帳を交付すべきだと質問。後藤氏は被爆体験者が敗訴した2017年の最高裁判決などを挙げ「長崎の被爆未指定地域では、原爆投下後、間もなく雨が降ったとする記録はないとされている。最高裁確定判決の事実認定だ」などと述べた。
しかし、実際は被爆体験者訴訟の最高裁判決に「長崎では黒い雨の記録はない」との記載はなく、県保険医協会は「被爆体験者を被爆者と認めない理由にならない」と批判した。【樋口岳大】