ネットカジノ横行、「違法でない」と誤解が拡散…「TVゲーム感覚」で借金1000万円

ネットカジノが横行している。国内では公営ギャンブル以外の賭博は禁止されているが、海外で運営されていることから、利用しても違法ではないという誤解がネット上で拡散。スマートフォンなどから24時間接続できるため依存症になるリスクが高く、関係者からは規制強化を求める声が上がっている。(清家俊生、田中重人)

ネットカジノは、専用のサイトで、ポーカーやルーレットなどに金を賭けて遊ぶ。利用するには、氏名や住所などの個人情報を登録する必要がある。銀行口座から決済代行業者を通じて賭け金をドルに両替した上で、運営事業者に入金するなどの方法がある。1回に100万円以上賭けることも可能という。
カジノ産業のあり方を調査研究する国際カジノ研究所の木曽崇所長によると、海外の事業者のサイトのうち、日本語が表示されるものは数十ある。
神戸大の森井昌克教授(情報通信工学)の分析では、国内から少なくとも100万~200万人がネットカジノのサイトに接続している。日本語を含む多言語で運営されているサイトの大半で、国別の利用者数は日本が1位。森井教授は「コロナ禍で、自宅でもできるネットカジノの利用者が増えた」とみている。
山口県阿武町が誤って振り込んだ新型コロナ対策関連の給付金4630万円が全額出金された事件では、電子計算機使用詐欺容疑で逮捕、起訴された20歳代の男が、出金した金を「海外のネットカジノで使った」と話し、注目された。

ネットカジノの利用は刑法で禁じられた賭博に当たり、カジノが合法な国で免許を受けた業者が開設したものであっても日本国内で賭ければ違法行為になる。
2016年には、海外のネットカジノでそれぞれ約3000円~11万円を賭けたとして、大阪府などの男3人が京都府警に単純賭博容疑で逮捕され、京都簡裁から罰金20万~30万円の略式命令を受けた。
だが、事業者が海外にいることが壁になって摘発事例は少なく、ネット上には、「違法ではなくグレー」「賭博罪の適用外」といった誤った書き込みがあふれている。
「興味本位で2万ぶっこんだ」「大荒れスロットで大勝利」――。ユーチューブでは、ネットカジノで賭ける様子を紹介する動画がアップされ、20万回以上閲覧されているものもある。
甲南大の園田寿名誉教授(刑法)は「海外の事業者であっても、日本に拠点を持ち、暴力団が運営に協力するケースは多いだろう。警察は捜査を尽くして積極的に摘発し、違法行為だと周知すべきだ」と指摘する。

ギャンブル依存症になる人も増えている。
相談の受け付けや啓発活動を行っている「ギャンブル依存症問題を考える会」(東京)によると、ネットカジノに関する相談は、19年は全相談者に占める割合が4・2%(188人中8人)だったが、22年は5月20日時点で12・5%(120人中15人)に増えた。15人中4人は、1000万円以上の借金を抱えているという。
同会などは10日、海外で認可を受けている事業者でも賭博開帳図利罪の処罰対象にしたり、国内からサイトへの接続を規制したりする法整備を求める要望書を政府に提出した。
田中紀子代表は「際限なく続けられるネットカジノは短期間で依存症になりやすい。一刻も早く手を打たなければならない」と警鐘を鳴らす。
スマホで24時間、依存症増加

「テレビゲームをやっている感覚。お金を賭けている実感が薄い」
ネットカジノにはまった経験がある京都府内の会社員男性(45)はそう語る。
始めたのは約20年前。当初は自宅のパソコンでやっていたが、スマホを使うようになると、仕事の合間でも頻繁にカードゲームやスロットで遊ぶようになった。
日本語でできるサイトには片っ端から登録した。事業者から「今入金してくれたら、特典をつけるよ」と電話がかかってきたこともある。利用者が摘発された事例は知っていたが、「グレー」というネット上の書き込みを見て、「大丈夫だろう」と思った。
負けがこむと取り返さないといけないと焦り、消費者金融から金を借りた。借金は最大1000万円に膨らんだ。昨夏、妻の勧めでギャンブル依存症の自助グループに参加してからは、ようやくやめた。「やりたい時にいつでもスマホでできる。こんなにはまりやすいギャンブルはない」
大阪府内の40歳代の女性は、同居する20歳代の次男が今年2月からネットカジノを始めた。次男は負けるとイライラし、家の壁に穴を開けたこともあった。借金を返すため車を売った。
女性は「息子のように軽い気持ちでネットカジノにはまり、精神的に追い込まれる若い人は多いと思う。安易に遊べないようにしてほしい」と訴える。