東京23区、高校生の医療費完全無償化 独自財源で所得制限なしに

特別区長会の山崎孝明会長(江東区長)は21日、都内で記者会見し、都が2023年度から実施する方針を示している高校生の医療費助成について、23区は所得制限や自己負担なしで無償化を実施すると発表した。都は所得制限や自己負担を設ける考えだが、独自に財源を上乗せする。23区では小中学生に続き、高校生の医療費も完全無償化されることになる。
現在の都と区市町村による医療費助成は中学生までが対象で、23区と一部市町村は自主財源を活用して所得制限や自己負担なしで実施している。また、既に高校生まで独自に無償化している自治体もある。
都は23年度から助成の対象を高校生まで拡大することを決定。所得制限を設けた上で、通院1回あたり200円を自己負担とし、残額を都と区市町村が半額ずつ負担する方針を示した。しかし、財源の在り方などを巡り区市町村が反発し、都は助成開始から3年間は区市町村側の費用を都が負担すると提案し、協議が続いていた。
区長会は今月16日の総会で都の提案を暫定的に受け入れる方針を決定。23年度から3年間、23区は上乗せ分だけを負担する。23区側の負担は約13億円と推計されるという。4年目以降の財源については、都と協議を続けていく。
山崎会長は「所得制限や自己負担分も含め都が費用負担すべきだということは言い続けていく」と主張に変わりがないことを強調。今回の決定に至った理由については「来年度からスタートできるようにするのは家庭にとって大切なこと。あまり悠長に議論を重ねているわけにはいかない」と述べた。
一方、多摩地域では全ての市町村で対応をそろえる動きは出ていない。26市の市長でつくる都市長会の会長を務める石阪丈一・町田市長は「23区と違って財政力が十分でない自治体もあるため、全市で足並みをそろえて無償化とするのは難しい。今後、所得制限を撤廃するなどの判断は、それぞれの自治体に委ねていきたい」と話した。【千脇康平、加藤佑輔】