消防団員が開設した銀行口座の通帳やキャッシュカードを一部の消防団が不正に管理している問題について、関係閣僚から21日、苦言や早期是正を求める声が相次いだ。
消防庁を所管する金子恭之総務相は同日の閣議後記者会見で、団員個人に直接支給されるはずの報酬が不正管理を通じて消防団や分団に集約している実態があれば「(消防団の報酬に関する)基準の趣旨を逸脱する不適切な取り扱いだ」と指摘。「報酬の団員個人への直接支給の徹底を図っていく」と強調し、市町村を通じて実態把握を急ぐ考えを示した。
銀行口座を本人以外が管理することは不正行為に当たる可能性が高い。鈴木俊一財務・金融担当相も同日の閣議後会見で「預金通帳などが譲渡されることはマネーロンダリング(資金洗浄)に利用される恐れがある」と指摘。「預金通帳などを譲り渡す行為を犯罪として規制している」と述べ、消防団側に早期是正を求めた。
行政から振り込まれる報酬などは団幹部らによって回収、管理されているケースが毎日新聞の取材で複数確認されている。総務省は昨年4月、報酬を支給する市町村に対し、直接支給を徹底するよう通知したが徹底されず、関係者によると、回収された報酬が団の運営費に流用されたり、飲み食いや研修名目の旅行などに充てられたりしているという。金子氏は「懇親会の負担など消防団の運営は団員の総意に基づいて行われるべきものだ。まずは団員全体で議論してほしい」と苦言を呈している。【高橋祐貴、高田奈実】