日本製鉄の製鉄所から脱硫液流出 水路の魚が大量死 千葉・君津

日本製鉄東日本製鉄所君津地区(千葉県君津市)から有害な化学物質を含む液体が敷地外の河川などに流出したことが、県への取材で判明した。製鉄所周辺の水路は、19日から約3日間にわたって水が赤く変色し、魚の死骸も多数確認された。化学物質は小糸川を通じて東京湾に流れ込んだ可能性が高いという。県は同社に対し、流出量や原因を調べるとともに再発防止策を報告するよう指導した。
県水質保全課によると、流出したのはコークス炉から出たガスの洗浄に用いる「脱硫液」と呼ばれる液体。チオシアン酸アンモニウムという人体に有害な物質が含まれている。
同課などによると、19日に脱硫液を保管していたタンクが何らかの原因で壊れ、漏れ出た可能性が高い。当時、タンクの中には約3000立方メートルの脱硫液が入っていたが、流出量は分かっていない。水路から東京湾までの水は生活用水として利用されておらず、これまでに健康被害も確認されていないという。
日本製鉄の担当者は毎日新聞の取材に対し、「近隣住民にご迷惑をおかけしたことを重く受け止めている。海上保安庁など関係機関の指導を受け、因果関係を調査している」と話した。【長沼辰哉】