住民サービスの向上や経費削減などが目的の指定管理者制度での運営業者が決まらず、営業を休止していた山梨県甲斐市の市民温泉3施設が、今年度は市から個別の業務委託を受けた9社によって運営されることになった。3施設は30日に営業を再開するが、管理費は前年度より約2000万円増える事態となり、市は今後の運営方針を検討している。【照山哲史】
温泉施設は「釜無川レクリエーションセンター」「神明温泉志麻の湯」「百楽泉」。甲斐市によると、2008年度から「山梨交通」(甲府市)が指定管理者として運営してきた。22年度から5年間の契約期間についての公募でも、同社からのみ申請があったが、市の経費削減基準を満たしていないとして採用しなかった。このため、市民温泉は山梨交通との契約期限となった3月末で営業を中止。4月から3カ月間の休業に追い込まれた。
これまでの延長時の公募でも同社の他に申請がなかったことから、市は今回指定管理での温泉運営を見送り、業務を「保守」「清掃」「受付」「警備」など約15項目に分け、それぞれ入札によって9社を決定。その結果、21年度に山梨交通に市が支払った管理費約7700万円に対し、22年度の9社への支払いは計約9700万円に上ることとなった。
山梨交通の担当者は「市から不採用の理由は示されていない。申請時の管理費の額は明らかにできない」としているが、申請額が9700万円よりも安く、同社が指定管理者となっていれば、市の出費は少なくて済んだ可能性がある。市経営戦略課は「不採用となった会社がいくら提示していたかは公表しない」と話しており、指定管理による運営を見送った結果、市の負担が増えたのか減ったのかは明らかにされていない。
市民温泉には利用者減少などの課題もあり、市は有識者による検討委員会での審議を経て、今後の運営方針を決める。
7月3日まで無料開放
市は3施設の営業を6月30日から再開する。休業へのおわびから7月3日まで市外在住者も含めて無料開放する。4日以降は通常営業。
指定管理者制度
地方自治体が公共施設の管理・運営を非営利組織(NPO)や株式会社、任意団体など民間事業者へ拡大する制度。自治体は民間利用による住民サービス向上や人員を含めたコストダウン、事業者は利益を上げることが期待できる。