研究論文に掲載 ネトウヨがよく利用するウェブサイトとは

秋田県美郷町に「六郷の竹うち」という冬に行われる奇祭がある。60年安保の学生さながらヘルメットに顔に手ぬぐいの男たちが北と南に分かれ、青竹を持って叩き合う。結果は北軍が勝てば豊作、南軍が勝てば米価の高騰と、どちらに転んでもハッピーエンドという寸法だ。

一方、ネット右翼の意見はこの逆になってしまうことが多い。

立憲民主党の菅直人元首相(72)がツイッターで台風15号による政府の初動支援の遅れを指摘したところ、ネット右翼を中心に「おまえが言うな」「民主党政権の暗黒時代を忘れるな」と猛批判にさらされる結果となった。保守系月刊誌「正論」(電子版)もすぐさま反応。菅元首相の福島原発事故時の行状を記した過去の記事を添付し、「菅直人元首相に危機管理を語る資格はない」と直言している。確かに「正論」の言い分にも納得する部分は多い。

ただし、ことの本質は被災地の支援をどうするかが先である。仮に初動が遅れたのであれば、政権や政党に関係なく、保守系オピニオン誌であってもメディアとして批判の声を上げるのが役割。どちらに転んでもバッドエンドであり、詐欺師と追いはぎではどちらが自分への“被害”が少ないか――という選択ではない。ひいきも過ぎれば、その人を不利にすることもあるだろう。

「ネット右翼やその考えに好意的な人たちは、記事の全文を読んでいないようにも思われます。最初の2~3行だけ、もしくは見出しだけでニュースを判断する。目に触れるメディアも偏りがちです」(ジャーナリスト・森鷹久氏)

大阪大学の辻大介准教授の研究論文「インターネット利用は人びとの排外意識を高めるか」では、ネット右翼的な人がよく利用するウェブサイトは「読売」「産経」「J―CAST」「ガジェット通信」が多い傾向にある。反対に「朝日」「毎日」「ハフポスト」「バズフィード」とは負の相関になっていた。

一方、外国人を肯定的にとらえる層は「産経」だけを除き、他のメディアについては正の相関、また無相関が見られたという。簡単に言うと、排外主義者は接触するメディアに偏りがあり、そうでない人はバランス良く接触しているとも言えそうだ。メディアが偏るからネット右翼になるのか、元来が右翼的思考だから保守系メディアに偏るのかについては議論の余地があるが、辻准教授は「情報環境の中心がマスメディアからさらにネットへ移行するにつれて、排外意識をより強く持った人びとが増える可能性は十分に考えられる」としている。その一方で揺り戻し効果で社会全体が排外主義化していく結果にはなりにくいとも指摘し、「むしろ予想されるのは、世論が二極化し、社会的な対立・分断が深刻化していく」と結んでいる。

今の近隣アジアとの外交問題にも同じことが言える。=つづく