泉健太代表の立憲民主党は改選23議席を下回り、17議席となった。中でも、「小沢王国」といわれた小沢一郎衆院議員(80)の地元・岩手選挙区で現職が議席を失った。小沢氏を師と仰いできた新潟選挙区の現職、森裕子氏も落選した。安倍晋三元首相が凶弾に倒れた事件に関する、小沢氏の「失言」も、党全体の逆風になったとされる。かつての「野党勢力のドン」は神通力を失ってきた。
「残念ながら、壮絶な権力との戦いのなかで、(議席を)守り切ることができませんでした」
森氏は10日、両手でマイクを握りしめ、こう言葉を振り絞った。当選3回のベテランに、小沢氏や枝野幸男前代表らが相次いで応援に入ったが、及ばなかった。
小沢氏の地元、岩手選挙区でも、元秘書である現職の木戸口英司氏が、自民党の新人候補に大敗を喫した。選挙期間中、小沢氏が何度も応援に入ったが、有権者に訴えは届かなかった。北海道選挙区でも元秘書の新人、石川知裕氏が落選した。
立憲民主党全体への逆風を強めたのは、小沢氏自身の「失言」だった。
安倍氏が暴漢に銃撃されて死亡した事件について、岩手県内での街頭演説で、「自民党の長期政権が招いた事件と言わざるを得ない」「この災難は、むしろ自民党に有利に作用するかもしれない」などと語ったのだ。
47歳の泉代表が小沢氏を注意したが、後の祭り。岩手選挙区で、自民党に30年ぶりの議席獲得を許した。
政治評論家の小林吉弥氏は「小沢氏の『政治家としての求心力』が落ちていると言わざるを得ない。岩手では、父の小沢佐重喜元建設相の時代から『王国』を築いてきたが、有権者も世代交代している。安倍氏の事件への発言も、有権者との間で大きなズレがある。『政治家としての終焉(しゅうえん)が近づいている』と言われても、違和感はそれほどない」と語った。