中学生を拘束して監禁したなどとして福岡市のNPO法人「さるく」理事長の坂上慎一容疑者(57)らが福岡県警に逮捕された事件を巡り、法人が運営する障害者施設「くるめさるく」(同県久留米市)で「虐待」があったと久留米市が認定し、3月に児童福祉法に基づく行政指導をしていたことが関係者への取材で判明した。法人は別の運営施設でも不祥事により行政処分を受けていた。県警は21日、坂上容疑者らを送検し、法人の運営体制なども含めて全容の解明を進めている。
法人は2019年9月、久留米市から障害福祉サービス事業所の指定を受け、くるめさるくを開設。障害児らが学校外で生活支援を受けられる「放課後等デイサービス事業」を手掛け、市内外から発達障害のある小中学生らの療育を担うなどしてきた。
一方、県警は21年11月、くるめさるくの40代の女性職員を暴行容疑で逮捕。女性は処分保留で釈放されたが、これを機に久留米市も、くるめさるくの活動について実態調査を進め、くるめさるくの運営管理者宛てに22年3月31日付で行政指導をしていた。
指導文書によると、市は調査の結果、女性職員が21年11月19日、くるめさるくの放課後等デイサービスを利用していた男児に①頭部を複数回たたく②強制的かつ暴力的に椅子から引きずり下ろす③床の上に顔付近を押さえつける――という三つの身体的虐待をしたと認定。女性は新任の指導員だったが、知識や技術が不十分なのに1人で支援させ、研修や教育の機会も設けていなかったとして、運営体制に問題があったと結論付けた。
市によると、坂上容疑者は逮捕前の5月17日、厚生労働省の資料を基にした虐待防止研修や第三者によるチェック体制を構築するとした内容の改善報告書を、市に提出していた。
法人を巡っては、佐賀県鳥栖市で運営していた障害者通所支援施設「児童ルーム とすさるく」でも、児童発達支援の管理責任者や指導員を常駐させていなかった違反などが発覚。佐賀県は18年7月、児童福祉法に基づき、新規利用者の受け入れ停止3カ月の行政処分をしていた。同施設は19年4月以降、休止状態となっている。
福岡県警は7月20日、坂上容疑者ら2人を逮捕監禁容疑などで逮捕。長崎県時津町の自宅で寝ていた男子中学生の手足を結束バンドで拘束し、車でくるめさるくに連行するなど2日半あまりにわたって監禁するなどした疑いで捜査を進めている。【佐藤緑平】