安倍晋三・元首相の「国葬(国葬儀)」が閣議決定されたことを受け、政府は22日、関係府省庁に担当部局を設置し、準備を本格化させた。式典当日に向け、費用の検討や参列する海外要人の調整、警備態勢の構築などに政府を挙げて取り組む方針だ。
松野官房長官は22日の記者会見で、「無宗教形式で簡素、厳粛に行う。心のこもった国葬となるよう、関係方面と密接な連携を取りつつ執行に万全を期していく」と述べた。
国葬は、岸田首相が葬儀委員長、松野氏が葬儀副委員長を務め、全閣僚や3人の官房副長官らが葬儀委員に名を連ねた。
内閣府には22日、実務の総合調整を担う事務局が設置された。葬儀委員でもある森昌文首相補佐官が指揮し、内閣府や内閣官房、財務省、外務省、警察庁などの職員約20人で構成。具体的な式典進行や費用などについて検討する。
海外要人の受け入れ調整のため、外務省は約30人の準備事務局を発足させ、石月英雄アジア大洋州局参事官が事務局長に就いた。同日のうちに、日本と外交関係のある195か国のほか、台湾や香港などの4地域、80の国際機関に国葬の日程を伝えた。
2000年に行われた小渕恵三・元首相の内閣・自民党合同葬では米国や韓国の大統領をはじめ、在京大使などを含めた海外の参列者は153か国、3地域、22国際機関の計377人に上った。同省幹部は「今回も国家元首が来日する想定で準備する。全体の参列者数は小渕氏の葬儀を超えるだろう」と語る。
警察庁も22日、警護・警備に関する「警備対策推進室」を設置した。
一方、閣議決定を受け、与野党からは様々な反応が上がった。自民党の高市政調会長は「国葬の形で多くの海外要人が弔問する場を作る意義は大きい」と評価。公明党の石井幹事長は「国民に弔意を強制するものではない」と強調した。
日本維新の会の松井代表は「反対ではないが、政府には説明責任がある」と指摘。国民民主党の玉木代表も、国葬に理解を示しつつ国会での説明を求めた。
これまで賛否を明らかにしていなかった立憲民主党の泉代表は、「時の政権が元首相の業績を主観的に判断するのはおかしい」と主張し、反対を明言した。共産党の田村智子政策委員長も「弔意の押しつけにつながる」と批判した。