政府は22日午前の閣議で2022年版防衛白書を了承した。ロシアによるウクライナ侵略を「決して許すべきではない」と非難し、国力が低下したロシアが、中国と軍事面で連携を深化させる可能性があると警戒感を示した。覇権主義的な動きを強める中国による台湾侵攻の想定シナリオを初めて記載した。
白書は「ロシアによるウクライナ侵略」の章を新設。ロシアによる電撃戦を「失敗」と表現し、侵略を決断した要因を「ウクライナの抵抗意思や軍の能力に関する楽観的な見積もり」などと分析した。ミサイル攻撃の対象を正確に特定する能力の不足などを指摘し、ロシア軍の大規模戦争遂行能力に「疑問符が付いた」とした。
戦闘の長期化で損害を受けた結果、「ロシアの今後の中長期的な国力低下や周辺地域との軍事バランスの変化が生じる可能性がある」と指摘。ロシアが中国と関係を深化させることや、核戦力を重視し極東で戦略原子力潜水艦の活動を活発化させる可能性に言及した。
台湾に関する記述は昨年版から倍増させた。台湾側が想定する台湾有事のシナリオとして、〈1〉中国が演習名目で軍を中国沿岸に集結させ、偽情報を流布〈2〉ミサイルとサイバー双方で重要施設を攻撃〈3〉上陸作戦で制圧――との段階を踏むと紹介。中国は「台湾に各種の圧力を一段と強化している」と指摘した。
中国については「安全保障上の強い懸念」との従来の表現を踏襲したが、日本周辺での活動の活発化などを踏まえ、新たに「こうした傾向は近年より一層強まっている」と強調した。
核・ミサイル開発を進める北朝鮮については「重大かつ差し迫った脅威」と従来の認識を維持しつつ、中国と同様、その傾向が強まっていることを付記した。
日本政府は、厳しい安全保障環境を踏まえ、防衛力強化に向け、国家安全保障戦略など3文書を年末までに改定する予定だ。白書は、自衛目的で敵のミサイル発射基地などを攻撃する「反撃能力」に関し、「相手の武力攻撃の着手後にわが国が武力の行使を行うことは、『先制攻撃』とは異なる」と強調した。