国内で25日に初めての感染者が確認されたサル痘は、感染症法上では狂犬病などと同じ「4類」に分類されており、診断した医師は直ちに保健所に届け出る必要がある。「2類」相当とされる新型コロナウイルスとは異なり、感染者に入院を勧告する措置は取れないが、厚生労働省は海外での感染拡大を踏まえ、入院体制を確保するよう求めている。感染者の検査や治療はどのように行われるのか。
■早期検査体制を確立
感染が広がる欧米に限らず、韓国などの周辺国でも感染例があり、日本への流入は時間の問題とみられていた。政府は全国の地方衛生研究所に検査の試薬などを送付、各都道府県での検査が可能となっている。
大阪府では、国の通知を受けて、すでに早期検査体制を確立している。原因不明の発疹、発熱や筋肉痛などの症状があったり、症例がある国への渡航歴があったりしてサル痘の発症が疑われる場合、医療機関は保健所を通じて速やかに府に報告。さらに患者の検体を確保して大阪健康安全基盤研究所で検査を実施し、陽性を確定させる。
陽性者の濃厚接触者については、保健所が疫学調査を実施。症状があれば保健所の判断で調査を行うが、無症状の場合は調査対象にはならない。府の担当者は「早期検知とともに感染拡大抑止にも努めたい」と話した。
■治療、予防は全国4カ所で
感染した場合の治療は、対症療法が基本とされる。国内で承認されている治療薬はないものの、欧州などでは米企業が開発した経口治療薬「テコビリマット」が承認されている。政府は未承認の薬を治療に使えるかを探る「特定臨床研究」という枠組みを使い、国立国際医療研究センター(東京都)、藤田医科大病院(愛知県)、りんくう総合医療センター(大阪府)、琉球大病院(沖縄県)の計4カ所で同治療薬を投与できるようにした。
予防策として期待されるのが天然痘ワクチンだ。米疾病対策センター(CDC)によると約85%の発症予防効果があり、ウイルスに接してから14日以内に接種すれば重症化を防ぐ効果も期待できるとしている。厚労省の専門部会は29日、天然痘ワクチンをサル痘予防に使うことの可否を審議する。
■出入国者にも注意喚起
厚労省は検疫所で出入国者に注意喚起を行っている。
関西国際空港では6月から外国人観光客(インバウンド)の入国が再開されたものの、サル痘の感染が広がる欧米との路線は週5便(往復)程度の運航にとどまる。ただ、アジアとの路線は便数が増えており、東南アジア、韓国、台湾であわせて週100便(往復)程度が運航。欧州からアジア経由での入国も考えられるため、警戒を強化している。
関西空港検疫所では5月から、海外からの到着客が歩くターミナル内に「発熱や発疹などサル痘の症状がある場合は検疫官に自己申告を」と注意喚起するポスターを掲示。申告があれば検疫所内の健康相談室で症状を聞き、感染が疑われる場合は医療機関に搬送するとしている。