東京・あきる野市長が失職、不信任決議案の審議中は終始無言…傍聴女性「説明聞きたかった」

市長が議会を解散したことに伴い改選された東京都あきる野市議会(定数21)は28日、村木英幸市長(65)に対する不信任決議案を再可決した。地方自治法の規定に基づき、村木市長は失職し、50日以内に市長選が行われる。
今回の不信任決議案は、18人の署名で提出された。「改選後に結果を覆す見通しがないまま市議会を解散した」「市政を混乱させ、市民に不要な負担を強いるもので、市長として不適格」などと村木氏を批判する内容だ。
再可決は議員の3分の2以上が出席し、このうち過半数の賛成で成立する。この日の本会議には、21人全員が出席したものの、採決直前に1人が退席して、20人が電子投票による採決に臨み、賛成19、反対1で再可決された。
村木氏は不信任決議案の審議中は終始無言で、再可決直後に立ち上がって一礼、村野栄一議長から通知書を粛々と受け取った。議会を傍聴した女性(83)は「一方的な考え方を市に押しつける感じが目立つ気がした。今日も一言もなかったので、もっと本人の説明を聞きたかった」と話した。
村木氏と議会が対立を深めたきっかけは、村木氏が進めていた介護老人福祉施設に関するものだった。市議会の調査特別委員会が検討中にもかかわらず、村木氏の指示で市広報(4月15日発行)に事業者募集の記事が掲載された。
その後の村木氏の不適切な発言や施設用地の売買などに議会の議決を経るべきだとした条例を無視して手続きを進めようとするやり方に、議会が反発。6月16日に20対1の賛成多数で不信任決議が可決された。村木氏は6月23日に議会を解散し、これに伴う市議選は今月24日に行われ、不信任決議に賛成した18人が当選していた。

「納得できない」市長選再出馬へ

閉会後に記者会見を開いた村木氏は、議会の対応について「妨害工作」と強調した。「市長の執行権の侵害であり、議員の立法権の乱用」などと、これまでと同様の主張を繰り返し、「決議は厳粛に受け止めるが納得できないので、直接市民に信を問いたい」と無所属での出馬を表明した。
村木氏は旧秋川市時代から市議を務め、2015年の市長選に出馬して落選。19年の市長選に再出馬し、初当選した。1期目の任期は来年10月14日までだった。
元市議・中嶋氏が立候補を表明

あきる野市長の失職に伴う市長選に、元市議の中嶋博幸氏(55)が28日、無所属で立候補することを表明した。
記者会見を開いた中嶋氏は「市政の安定化をはかり、一日も早く前に進めて色々な課題を克服していきたい」と出馬の動機を語った。選挙戦では村木英幸氏の市政運営の是非や、18歳以下の医療費無料化、公共交通対策などの政策を訴えていくという。
中嶋氏は2013年、市議に初当選し、6月23日の市議会解散時には議長だった。市長選を見据え、今月24日に行われた市議選への立候補は見送っていた。