広島県が「医療非常事態警報」 人流増で感染急拡大、行動制限はせず

新型コロナウイルスの「第7波」による感染急拡大で医療体制が逼迫(ひっぱく)しているとして、広島県の湯崎英彦知事は12日、独自の「医療非常事態警報」を出した。病床を増やすなどして対応するが、行動制限などはしない。湯崎知事は「医療を守り、行動制限を可能な限り避けるためにも、県民一人一人が基本的な感染防止策に取り組んでほしい」と述べた。
県内では11日、過去最多の6284人の感染が確認された。県によると重症化リスクの高い高齢者にも感染が広がり、入院患者も増加している。11日時点の確保病床使用率は65・7%。広島市では1~7日、1週間の救急搬送困難事例が過去最多の107件に上った。また、県全体で400人以上の医師や看護師が出勤できず、一般病棟の閉鎖や予定されていた手術が延期されるなどの状況も起きているという。
12日に記者会見した湯崎知事は、感染拡大が想定を上回っているとして、原因について「6日前後からの県内人流の増加」の可能性などを上げた。6日は「広島原爆の日」で、広島市の平和記念公園で平和記念式典があり、県内外から参列者が集まった。
今後の対応として、すぐに稼働できる病床数を約140床増やして24日に920床程度に引き上げるほか、無症状者向けのPCRセンターの態勢を強化。各会場で15日から開設時間を1時間拡大し、1日あたりの検査予約枠を現在の3580から4180に増やす。
今年は3年ぶりに行動制限のないお盆休み。接触機会の増加で感染リスクが高まる可能性を踏まえ、湯崎知事はワクチン未接種者に接種を促した。県は陰性確認目的の医療機関の受診や発熱・せきのみなど軽症の場合の救急車利用を控えること、PCRセンターの予約の無断キャンセルはしないことなども呼び掛けている。【手呂内朱梨】