東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー選定を巡る汚職事件で、受託収賄容疑で逮捕された大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)が、AOKIホールディングス(HD)側とスポンサー料(協賛金)を事前調整する中で、同社が有利になるよう段階的に金額を引き下げた疑いがあることが関係者への取材で判明した。その後、元理事が組織委に指定した金額でAOKIHDはスポンサー契約しており、東京地検特捜部は元理事が選定に強い影響力を及ぼしたとみて捜査を進めている。
関係者によると、元理事はAOKIHDがスポンサーに決まる約1年9カ月前の2017年1月、同社前会長の青木拡憲(ひろのり)容疑者(83)=贈賄容疑で逮捕=にスポンサーになる意向を確認したとされる。4段階ある五輪のスポンサー枠の中で最もランクが低い「オフィシャルサポーター」を挙げ、基準額として15億円を提示。ただ、同社が五輪招致で資金を拠出していたことなどを理由に半額の7億5000万円でスポンサーになれると打診したという。
元理事と前会長はその後も会合を重ね、同年夏までに7億5000万円のうち2億5000万円を元理事が推薦する競技団体の強化費として先払いすることで合意。元理事は組織委に「5億円でAOKIHDがスポンサーになる意向がある」と報告し、実際に基準額の3分の1の5億円で契約が結ばれた。
スポンサー集めは組織委から「専任代理店」として業務委託された大手広告会社「電通」が企業に営業をかけるのが通常で、理事の立場から具体的な金額交渉に関与したのは異例だったとみられる。
ただ、強化費2億5000万円のうち競技団体に支払われたのは2団体に計数千万円で、約1億5000万円は元理事が自身の借入金の返済などに充てた疑いがあり、特捜部が資金の流れを調べている。
元理事は17年1月ごろから、前会長ら贈賄側のAOKIHD幹部3人からスポンサー選定やライセンス商品の製造・販売で有利な取り計らいを受けたいとの依頼を多数回受け、17年10月~今年3月に計5100万円の賄賂を受け取ったとして逮捕された。関係者によると、元理事は逮捕後も容疑を否認しているという。【二村祐士朗、井口慎太郎、松尾知典、島袋太輔】