東尋坊で活動のNPO追ったフランス人監督の映画完成

東尋坊で自殺しようとしている人たちを保護しているNPO法人「心に響く文集・編集局」(福井県坂井市三国町東尋坊)の活動を追ったフランス人監督によるドキュメンタリー映画が完成し、日本語版のDVD70枚が「お礼の品」として今月、NPOに届いた。代表の茂幸雄さん(75)は「水際対策の一助に」と、自殺防止を担う各都道府県の部署にDVDを送る。この仏監督は続編を撮る計画も進めており、福井発の取り組みがさらに広がりそうだ。【大森治幸】
「心に響く文集・編集局」は元警察官の茂さんを代表に、2004年から活動。日々のパトロールで自殺志願者を見つけて声をかけ、保護する活動を続けている。保護した人数はこれまで計664人(9月12日現在)に及ぶ。NPOの活動は海を越えて知られるようになり、海外の報道機関も取材やインタビューに訪れている。
フランス人映画監督のブレーズ・ペランさん(37)も、茂さんたちの活動に心を打たれた一人だ。11年から構想を練り、撮影を重ねた映像は昨年、「ラ・ロンド」として仕上げた。タイトルは「巡回」の意味で、茂さんたちのパトロールを指している。
作品は54分。茂さんのパトロールの様子を飾り気のないカメラワークと構成で伝える。作品中、実際の自殺志願者の男性(顔にはモザイク)も捉えており、ベンチに座りながら「もう人生疲れちゃって」と話す男性に、茂さんが「何かお手伝いできると思うよ」と声をかけて保護するシーンもある。

作品は「非常に高い評価を得た」(ペランさん)といい、地元の映画祭などに選出されたほか、スイスやアルゼンチンなどでも上映されたという。
そんな自信作への出演のお礼として、ペランさんは日本語版も製作し、段ボールに入ったDVD70枚が今月11日にNPOに届けられた。
茂さんはこのDVDを自殺防止対策に取り組む各都道府県の担当部署に贈ることにしており、「自殺者を一人でも減らすための一助にしてもらえたらうれしい」と話している。
ペランさんも毎日新聞にメールでコメントを寄せた。ペランさんは「作品を通じて茂さんの意志の強さや人間性が多くの人に伝わればうれしい。自殺志願者にも『あなたは一人ではないよ』と伝えたくて、この作品を作った」としている。
また、ペランさんは茂さんたちに救われた人に焦点を当てた「続編」を作ることも計画しているという。ペランさんは「次作では、保護されて人生をやり直した人たちがどのような道をたどってきたかを追いたい。そうすることで、人生はやり直しがきくものだとのメッセージを伝えたいと思う」としている。